平成27年12月4日

◯六十二番(いなもと和仁君) 通告に従いまして、順次質問をしてまいります。
 まず初めに、杉原千畝氏ゆかりの地としての取り組みについてお伺いをいたします。
 この件につきましては、先日、名古屋市会でも質問があり、杉原氏の功績をたたえ、名古屋市内に人道の道を設けられるようであります。
 我が党の地元選出、川嶋太郎議員も大変関心がある項目だと伺っておりますが、私のほうから質問をさせていただきます。
 ことしは戦後七十年、そして、杉原千畝氏がいわゆる命のビザを発給し、多くのユダヤ人の命を救ってから七十五年の節目の年であります。
 あすから俳優の唐沢寿明さんの主演で、映画「杉原千畝」が公開されるとのことでありまして、マスコミでも大きく取り上げられているところであります。
 また、去る九月には、岐阜県八百津町が日本ユネスコ国内委員会に申請しておりました、杉原千畝氏が避難民救済のため、人道主義、博愛主義に基づいて発給した日本通過ビザ発給の記録、いわゆる杉原リストがユネスコ世界記憶遺産の国内候補に選定されており、来年三月にユネスコに申請され、決定は平成二十九年夏ごろの予定とのことであります。
 このユネスコ世界記憶遺産とは、人類にとって後世に継承すべき重要な文書類が毀損したり、消失したりするのを防ぐために創設され、人類の貴重な文書、書籍、写真などの資料等を保存し、広く一般に公開するためにユネスコが行っている事業でありまして、これまでにアンネの日記やフランス人権宣言など、三百一件が登録されております。
 杉原リストは、昭和十五年、第二次世界大戦のさなかに、リトアニアのカウナス領事館の領事代理であった杉原氏が、ナチス・ドイツによる迫害を避けて、ポーランドから逃れてきたユダヤ人の命を救うため、外務省からの指示に反して大量のビザを発給し、約六千人とも言われる命を救ったことを記録したかけがえのない文書であります。
 ここで、改めて杉原千畝氏の経歴を御紹介させていただきます。
 明治三十三年に岐阜県八百津町で生まれておられますが、税務署職員であった父親の勤務先がかわるたびに転校を繰り返されたようであります。小学校二年生のときに名古屋市中区にあった古渡尋常小学校、現在の名古屋市立平和小学校に転入され、その後、愛知県立第五中学校、現在の愛知県立瑞陵高等学校に進まれ、大正六年に同校を卒業するまでの十年間を名古屋で過ごされておりますので、本県にとっても極めてかかわりの深い方であります。その後、早稲田大学に進まれた後、大正十三年に外務省に入り、外交官の道を歩まれたようであります。
 当時の世界情勢や日本の立場を考えますと、一外交官であった杉原千畝氏が、一人一人の命を大切に思い、人道的な立場に立ってとった行動は、大きな勇気を必要としたことであることは言うまでもありません。
 その功績は、昭和六十年にイスラエル政府からヤド・バシェム賞を日本人初にして日本人としてただ一人だけ受賞されていることや、リトアニアのカウナスに氏の業績をたたえるために、当時の領事館執務室を再現した記念館があることなどが示すように、海外で広く認められてきたところであります。
 その杉原千畝氏が少年時代を過ごし、学び、成長を遂げられた地がここ愛知・名古屋であったことは、県民としても誇るべきところであると考えております。
 また、六月議会の質問の中で、我が党の田中泰彦議員が取り上げておりますが、本県教育委員会が作成し、県立高等学校に配付している道徳教育の指導参考資料「明日を拓く」には、みずからの信念と正義に基づいて行動された杉原千畝氏の業績が掲載され、その生き方を高校生が学んでいるとのことであります。
 このように、今も氏の姿勢に学ぶところは多く、本県で育った杉原千畝氏の偉業を顕彰して、さらに幅広く伝えていくことは大切ではないかと考えております。
 杉原千畝氏のゆかりのある名古屋市立平和小学校には、平成十二年に氏の生誕百年を記念して、ちうねチャイムが設置され、毎朝清らかな音が鳴り響いていると聞いております。
 また、氏が卒業された県立瑞陵高等学校には、平成二十四年に日本とイスラエルの国交樹立六十周年を記念して、平和の象徴であるオリーブの木が植樹され、戦前から残る講堂には氏を紹介するパネルが展示されているとも聞いております。
 そこでお尋ねをいたします。
 本県ゆかりの偉人として世界に誇るべき杉原千畝氏の業績を風化させず、長く後世に語り継いでいくためにも、県として名古屋市と連携しながら、杉原千畝氏の功績をさらに広く県民に知っていただくような取り組みを行っていくべきと考えますが、県のお考えをお尋ねいたします。
 次に、学校における子供の体力と健康についてお尋ねをいたします。
 まず一つ目は、子供の体力向上についてであります。
 文部科学省が昭和三十九年から実施している体力・運動能力調査によると、子供の体力は、昭和六十年ごろまでは各種目で上昇傾向が見られ、その後、社会経済の低迷と軌を同じくして低下に転じております。
 学校を初めとする各方面の取り組みにより、平成十一年度ごろに下げどまり、現在は横ばいの状態で推移しておりますが、昭和六十年ごろの記録に比べるとまだまだ低い水準と言えます。
 このように子供の体力が低迷している原因としては、学校外の学習活動、いわゆる学習塾、稽古ごとの増加によるスポーツ活動時間の減少、手軽な遊び場の減少、少子化による遊び仲間の減少などが挙げられております。
 平成十一年度から体力テストの種目が見直され、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、二十メートルシャトルラン、五十メートル走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの八種目を新体力テストとして実施をしております。
 私が委員として出席をしている地元小中学校の学校保健委員会では、児童生徒の新体力テストの結果が毎年報告をされておりますが、学校平均が全国平均を下回る種目が多く、なかなか改善が見られません。最近の子供には、スキップができない、キャッチボールをしたことがない、転んでもうまく手をつくことができずに自分の身を守れない子も多いと聞いております。
 体力、運動能力の低下は、スポーツの得意、不得意といった面だけでなく、日常生活で正しい姿勢を保ったり、転倒したときにけがをしないようにうまく手をついたりといった基礎的な身体能力への関連も心配されております。
 他県の事例ではありますが、大阪府八尾市の中学校では、組体操において百五十四名で十段のピラミッドに挑戦したところ、ピラミッドが崩れる事故が発生し、腕を骨折する重傷のほか、五名が打撲を負ったと報道されております。今回の事故を受け、一部の学校では組体操の中止が検討されているようであります。
 日本スポーツ振興センターによりますと、平成二十六年度、全国での小学校の体育的活動中の災害給付総数は九万四千八百九十六件であり、一番給付の多い種目は跳び箱の一万四千七百十五件、一五・五%、次にバスケットの一万三千百九件、一三・八%、組体操は四番目の六千二百八十九件、六・六%でありました。
 学校では、子供たちの安全を第一に考えて、行事等を計画、立案することが必要であることは言うまでもありませんが、日本スポーツ振興センターの給付件数から見ますと、子供たちが協力して演技をすることにより、達成感や一体感を実感できる組体操を中止するのではなく、演技を安全に実施できるよう計画、指導していくことが大切であると私は考えております。
 ここで、まず教育長にお伺いをいたします。
 まず、愛知県の小学校、中学校での組体操の実施状況やけがの発生件数はどのようになっているのか。また、組体操を安全に実施していくために県としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 また、先ほど申し上げましたが、子供の体力、運動能力の低下は、基礎的な身体能力の低下にもつながりますので、組体操に限らず、体育的活動におけるけがや事故の防止には、児童生徒の体力を高める取り組みを積極的に行っていかなければなりません。
 二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、このスポーツの一大イベントの開催を機に、子供の体力を高め、子供たちが安全にスポーツに親しみ、将来にわたって健全で活力のある生活を送れるような手だてをすることが我々の責務であると考えております。
 本県においても、平成二十五年に策定した愛知県スポーツ推進計画、いきいきあいちスポーツプランにおいて、今後十年以内に子供の体力を昭和六十年ごろの水準を上回ることを目指しております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 現在、愛知県では、子供の体力向上にどのように取り組んでおるのか、お伺いをいたします。
 続いて、小学校における薬物乱用防止教育についてであります。
 先月十一日の新聞記事を見て、私は愕然といたしました。京都の市立小学校に通う小学六年生の男子児童の告白から衝撃の事態は表面化をいたしました。ドラッグの若年層への蔓延は以前から報じられてきましたが、まさか小学生が大麻を吸っていたとは大変な驚きでありました。
 ここで、発覚に至るいきさつを簡単に説明いたします。
 十月中旬、学校側は男子児童に喫煙に関して指導している過程、これもまた大変な驚きでありますが、その中で大麻も吸ったという話が出たとの報告があり、重大案件と見て、警察に連絡をいたしました。入手先は兄の部屋だったと言われており、この男子児童が実際に所持しているかは現在認められておりません。大量に吸ったわけでなく、兄に気づかれないようにそっと少しだけ吸っていたと言っているそうであります。
 アイドル女優がコカイン使用容疑などで警視庁に逮捕され、また、インターネットを通じて向精神薬を販売していた薬剤師が大麻及び向精神薬取締法違反容疑で逮捕されるなど、薬物事件が後を絶ちません。
 警察庁の統計によりますと、ことし上半期に大麻事件で検挙された未成年は全国で五十八名と、昨年同期の三十三名を大きく上回っております。
 大麻や覚醒剤等は、何年も前から若年層に蔓延をしたと言われております。また、LINEやインターネットの普及により、売人と対向せずに手に入る環境になったことが低年齢化を助長させております。
 薬物とは、覚醒剤、大麻、MDMA、コカイン、ヘロイン、アヘン、向精神薬、シンナーなどに加え、最近では危険ドラッグなども社会的問題となっております。
 特に、危険ドラッグを吸引して車を暴走させて起こす交通事故も後を絶ちません。警察庁が危険ドラッグを吸引したことが原因で死亡したと見られるケースを調べたところ、昨年は全国で百十二名に上っているとのことであります。
 愛知県では、毎年度一回の薬物専門講師養成講座の開催、県内の学校、団体への薬物乱用防止講習会の開催、リーフレットやポスターなどの啓発資料の作成、配布を行っていることは私もよく知っております。
 一般的に好奇心から薬物に手を出すことが多いそうでありますが、疲れがとれ、頭がすっきりする、ダイエットにいいよと友達に勧められ、知らず知らずのうちに薬物中毒になっていく事例も報告されております。
 各種薬物の入手はもちろん、爆発物の製造方法、現在はもう既に製造中止となりましたが、あるメーカーの入浴剤と薬物の配合による練炭自殺の方法など、インターネットで誰もがさまざまな情報が入手できる時代になりました。
 また、コンビニで手軽に薬が買えるようになり、ますます薬に関する正しい知識、薬物中毒の怖さを教える、いわゆる薬育が必要だと私は考えております。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 薬物乱用防止教育については、発達段階に応じた適切な教育が必要であり、特に、小学校での早期の教育が必要だと思いますが、現在、小学校では、薬物乱用防止のためにどのような教育を行っておられますか。
 また、各学校には主に学校環境衛生等の検査、指導を行う学校薬剤師が配置をされております。学校薬剤師は、薬物に関する専門的な知識を持っていることから、薬物乱用防止教育には学校薬剤師による指導が効果的だと考えておりますが、今後どのように小学校において薬物乱用防止教育に取り組んでいくのか、教育長のお考えをお聞かせください。
 最後に、農業の担い手の確保、育成についてお尋ねをいたします。
 私ども自由民主党愛知県議団は、本年六月に地方創生プロジェクトチームを立ち上げ、観光振興と農林水産業振興を軸とした地方創生の推進に焦点を絞って、県内調査や検討を行ってまいりました。そして、県が取り組むべき振興策に向けた地方創生に関する提言を取りまとめ、十月十四日に神野博史団長から大村知事に手渡されたところであります。
 私も、農林水産の振興を軸とした地方創生の推進プロジェクトチームの一員として、県内の情勢や現場の状況を調べてまいりました。
 提言の中では、地域の実情に応じて六次産業化の推進や海外への販路拡大など、地域の特色を生かした出口戦略の展開、ICT等の最先端技術の導入など、生産性と収益性の向上、健康、福祉分野などの他分野とのマッチングなど、さまざまな施策の展開を挙げております。
 この取り組みを通して気になりましたのが、農業の担い手の減少や高齢化であります。本県の農業就業人口は、平成二十二年度には七万七千人となり、五年前に比べて二三%減少をしております。また、農業就業人口のうち六十五歳以上の割合が約六割を占めております。
 私の住む名古屋市中川区は、市内でも田畑が多く残る、名古屋市内においては農業が比較的盛んな地域で、施設で栽培される水耕ミツバに代表される都市近郊の野菜産地であります。
 また、幻の白菜と言われる野崎白菜の産地であります。この白菜は、明治時代に野崎徳四郎によって庄内川沿いの農場で国産で初めて開発された結球白菜で、肉質が柔軟で甘みがあることが最大の特色ですが、一般的な白菜に比べて日持ちがしにくいため、市場の流通量が比較的少ない幻の白菜と言われております。
 この野崎白菜を利用した新メニューや、加工製品の開発に取り組み、地元企業や飲食店の協力を得ながら、商品化や御当地グルメイベントなども行われてまいりました。
 また、農業への理解を深めることや住民の交流を目的として、名古屋市農業文化園では、農業に関する展示や地元農産物の直売などが行われており、農家や農協などが協力して、一般の方が野菜を栽培する農業体験も実施をされております。しかしながら、やはり市街地化が進展し、農家はだんだんと減少しており、担い手も高齢化が進んでおります。
 そうした中ではありますが、今から五年前、一人の男性が中川区で農業を始められました。その方は、大学卒業後、民間企業で勤務をされておりましたが、子育てをきっかけとして、食べ物に関して強い興味を持つようになりました。そして、みずから安全で安心できる食材を生産したいという強い思いから農業を始めることを決心され、会社を退職して、県の農業大学校で勉強し、民間での研修を経て、五アールのハウスを建設、平成二十二年にミニトマトの栽培を開始いたしました。その後、規模を拡大し、その方がつくるミニトマトはサクランボぐらいの甘さがあるようになり、今ではハウスの前での直売に加え、名古屋市内の百貨店やレストランでも取り扱われ、インターネットでも販売されております。
 また、六次産業化にも取り組まれており、現在は売り上げの二割以上がミニトマトを原料としたジュースや飲むビネガーの加工品となっているそうであります。
 都市部でゼロから農業を初め、五年で経営を軌道に乗せるには、本人の大変な御努力といろいろな御苦労があったに違いありませんが、私は、農家の子弟であるなしにかかわらず、こうしたやる気のある人をしっかりと応援することが担い手を確保、育成する上で大変重要な視点であり、農業が元気になり、農業振興を軸とした地方創生につながっていくと考えております。
 県では、食と緑の基本計画二〇一五において、新規農業就業者の確保を数値目標設定するなど、担い手の育成、確保に重点的に取り組んでおり、平成二十四年度には、県内八カ所の農林水産事務所農業改良普及課に本県独自の取り組みとして農起業支援センターを設置して、一元的な就農相談を行っております。
 また、国では、同じく平成二十四年度から就農前の二年以内の研修期間や、就農直後の五年以内における所得の確保を目的として、それぞれ年間百五十万円を給付する青年就農給付金制度を実施しております。
 こうした県や国の取り組みもあって、ここ数年、農業をやりたいという人がふえているという喜ばしい傾向のようでありますが、先ほど紹介したような方は少数派で、実際は農業を始めてみると、作物がうまく育てられなかったり、見込んだような収入が上がらないなど、なかなか大変なようであります。このため、今後一層就農前後における県の支援の重要性が高まっていると思います。
 そこでお尋ねをいたします。
 本県における新規農業就業者の状況はどのようになっているのでしょうか。また、現在、次期基本計画を策定中とのことでありますが、今後、担い手の確保、育成に向けてどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 以上、明快なる御答弁を期待して、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

◯教育長(野村道朗君) 本県における組体操の実施状況とけがの発生件数、今後の取り組みについてまずお尋ねをいただきました。
 組体操の実施状況についてでございますが、大阪府での事故を受けて、小学校、中学校における今年度の実施状況について悉皆調査をしたところでございます。
 調査結果は、小学校では全体の七九・一%に該当する五百六十三校、中学校では二七・五%に該当する八十四校で組体操を実施しておりました。また、けがの発生件数についてでございますが、組体操を起因とする骨折等のけがは、小学校で七十七件、中学校では二十七件の報告がございました。
 組体操を初めとする体育活動中の事故防止につきましては、文部科学省からの通知を踏まえまして、各市町村教育委員会を通じて、安全に体育的行事が実施されるよう指導しているところでございますが、今回実施をした悉皆調査の結果によりまして、骨折等の事故が相当数発生していることが明らかになりましたので、今後県といたしましては、こうした事故を防ぐために、組体操を安全に実施するための指針を作成し、市町村教育委員会に示してまいりたいと考えております。
 次に、子供の体力向上への取り組みについてお尋ねをいただきました。
 子供の体力につきましては、全国的に昭和六十年ころのピークと比べると低い状況にあることに加えまして、運動する子供としない子供との二極化が大きな課題でございます。
 本県では、体力を高めていくためには、まずは運動が楽しいと感じられる子供、みずから運動に親しむことができる子供を育てることが大切であると考えておりまして、遊びの要素を多く取り入れた子どもの体力向上運動プログラムというものを作成し、体育の授業や放課後などに活用していただくよう、平成二十二年度から県内の全小学校へリーフレットやDVDを配付するとともに、教員を対象とした指導者講習会を開催して普及に努めているところでございます。
 また、今年度、こうした取り組みを地域、家庭に広め、児童生徒の日常的な運動機会をふやすことを狙いといたしまして、トップアスリートとともに親子で運動に親しむ子どもスポーツふれあい事業を県内四カ所で実施することといたしました。
 豊田市では、講師としてメダリストである女子レスリングの吉田沙保里選手、登坂絵莉選手、日進市ではフットサル名古屋オーシャンズの北原亘選手、森岡薫選手、豊川市では元NHK体操のお兄さんの佐藤弘道さんなどを招きまして、各会場約百組、二百名の親子に参加をしていただきました。十二月二十五日には、陸上競技の朝原宣治選手を講師としてお招きし、愛西市で実施をする予定としております。
 今後も、体力向上運動プログラムを中学校にも拡大するなど、こうした取り組みを進めまして、学校体育の充実と地域や家庭との連携を通じて、子供たちが健全に育つことのできるよう子供の体力向上に努めてまいります。
 次に、小学校における薬物乱用防止教育についてお尋ねをいただきました。
 児童生徒の薬物乱用防止対策につきましては、平成二十年に国の薬物乱用対策推進会議で決定をされた第三次薬物乱用防止五か年戦略を踏まえまして、本県では、全ての中学校及び高等学校におきまして、薬物乱用防止教育の充実として薬物乱用防止教室を年一回以上開催をいたしております。また、小学校におきましても、地域の実情に応じて、薬物乱用防止教室を開催するよう市町村教育委員会に周知をしているところでございます。
 県内の小学校における平成二十六年度の薬物乱用防止教室の開催状況でございますが、小学校全体の約六六%の学校で年一回以上開催をされております。
 また、薬物乱用防止教室を開催していない小学校におきましても、体育の授業の中で薬物乱用防止についての学習をいたしております。
 薬物乱用防止教室の内容といたしましては、主に小学校高学年を対象に警察職員、学校薬剤師、保健所職員など外部専門家による講話、薬物依存による健康被害に関するDVDの視聴、薬物の誘いに対する断り方のロールプレー、こういったことなどを実施しておりまして、これらの取り組みにより、薬物乱用の有害性、危険性について理解をさせ、薬物に絶対手を出さないという規範意識の向上を図っております。
 最後に、小学校における薬物乱用防止教育に関する学校薬剤師の活用についてのお尋ねでございます。
 学校薬剤師は、学校における環境衛生の維持、改善のほか、学校において使用する医薬品等に関する指導、助言を行っております。議員お示しのとおり、薬物に関する専門的な知識を有する学校薬剤師は、薬物が及ぼす健康被害や薬物依存の危険性について、より具体的に児童に示すことができ、薬物乱用防止教育において効果的な指導が期待できます。
 また、薬物乱用防止教室では、警察職員、保健所職員、学校薬剤師などが講師を務めておりますが、学校薬剤師は、講師のほかにも薬物乱用防止教室の企画運営、体育、特別活動などの授業へのアドバイスや、担任とのティームティーチングなどで薬物の専門家としての指導にも一部携わっているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、薬物乱用防止教育における学校薬剤師の専門性の積極的な活用を市町村教育委員会の保健担当者会議等で働きかけてまいりたいと、このように考えております。

◯農林水産部長(加藤正人君) 農業の担い手の確保、育成についてのお尋ねのうち、初めに新規農業就業者の状況についてであります。
 本県では、就農希望者の一元的な相談窓口として、平成二十四年に農起業支援センターを設置し、農業後継者を初め、農業以外からの新規参入者や企業などの多様な担い手の就農支援に取り組んでおります。平成二十六年までの三年間で延べ二千四百三十七件の相談を受けたところでございます。
 また、国の青年就農給付金制度を活用して、就農前の研修期間中や就農直後の所得が不安定な時期の生活を支援しており、これまでに延べ七百五人の方が給付を受けております。
 さらに、普及指導員による現地指導に加え、農業大学校では、実習に重点を置いた学校教育や、農業経営に必要な基礎的な知識、技術などを習得させるニューファーマーズ研修などにより、就農希望者のサポートを行ってまいりました。
 こうした取り組みにより、本県の新規農業就業者数は、食と緑の基本計画二〇一五で設定をいたしました平成二十三年度から五年間で八百人を確保するという目標を上回り、昨年度までの四年間で九百二十六人となってございます。
 新規農業就業者の近年の傾向といたしましては、農家の後継者以外で新たに就農した人、いわゆる新規参入者の占める割合が平成二十三年度の三二%から二十六年度は四四%へと増加をしております。また、新規参入者のうち農業法人等へ就職する人の割合が平成二十三年度の三七%から二十六年度は四三%へと増加をしております。
 次に、今後の担い手の確保、育成に向けた取り組みについてでございます。
 農業経営を開始するためには、一般的に農業技術の習得、農地や機械、施設等の確保及び資金の調達の三つの要件が必要でございますが、県内の各産地におきましては、農業者の減少や高齢化等により、新たな担い手を受け入れるための体制が必ずしも整備をされていないのが現状でございます。
 こうした中、新規参入者におきましては、当初からこの三つの要件を満たすことは困難な場合が多いことから、実務経験を積みながら農業技術を習得し、自立した農業経営が開始できるよう、まずは農業法人等への就職を促進しているところでございます。
 また、現在策定中の次期の食と緑の基本計画におきましては、県の農起業支援センターの機能を強化し、担い手対策を充実してまいりたいと考えております。
 具体的には、農起業支援センターが市町村、農業委員会、農協等と連携して連絡会議を新たに設置するとともに、人材を含む各産地における戦略づくりを支援し、就農希望者と新たな担い手を求める産地とのマッチングに取り組んでまいります。
 また、県内には、市町村や農協等により農作物の栽培指導などを行う、いわゆる農業塾が四十八カ所で開催されておりますので、これら農業塾と連携して就農希望者のスキルアップを支援してまいります。
 県といたしましては、こうした農起業支援センターを核とした取り組みにより、産地と一体となった就農、定着を促進し、本県農業を支える意欲ある担い手の確保、育成にしっかりと取り組んでまいります。

◯知事(大村秀章君) いなもと議員の質問のうち、私からは、第二次大戦中に多くのユダヤ難民を救った杉原千畝氏の功績を広く県民に伝える取り組みについてお答えを申し上げます。
 いなもと議員からも説明がありましたように、杉原千畝氏の人道的な行いは、国内外で広く称賛をされておりまして、来年三月には、日本ユネスコ国内委員会が千畝氏が発行したビザの記録をユネスコ世界記憶遺産として申請することとなっております。
 その杉原千畝氏が人格形成の時期である青少年期をこの愛知・名古屋で過ごしたということは、私たち愛知県民にとって大きな誇りであり、また、かけがえのない財産でもあるというふうに思っております。
 小学校二年生から旧制中学を卒業するまでということでありますから、八歳から十七歳の十年間、この名古屋で暮らし、そして、学んだということでありますから、まさに名古屋の子といいますか、名古屋出身の方と言っても過言ではないのではないか、多分間違いなく名古屋弁をしゃべっていたんだろうというふうに思っております。まさに郷土偉人の一人であるというふうにも考えるわけでございます。
 したがって、私ども愛知県といたしましても、その人道的な立場を貫いた偉大な足跡を、教育の場はもとより、広く県民に伝えていくことが大切であると考えております。
 現在、本県の学校教育では、議員お示しの県立高校の道徳教育資料のほか、中学校の社会科の教科書や道徳の副教材「明るい人生」などにも千畝氏が取り上げられております。
 彼の信念に基づいた行動は、人間の命の重みを深く考えさせるものでありまして、今後、人権教育の取り組みの中でも積極的に取り上げ、子供たちが千畝氏の生き方をしっかりと学ぶようにしてまいりたいと考えております。
 また、議員御指摘のように、名古屋市は、杉原千畝氏が青少年期に通った現在の平和小学校から県立瑞陵高校、旧制五中ですね、瑞陵高校までの道のりを人道の道として名づけ、銘板などを設置する構想を持っておられるようでありますが、こうした事業は、郷土の偉人、千畝氏の功績を広く県民、市民に知っていただくすばらしい取り組みであると思います。
 愛知県といたしましても、この人道の道というか、平和の道といいますか、その中心がまさにこの旧制五中、県立瑞陵高校であることは間違いありませんので、その瑞陵高校には、この春、感喜堂を再建いたしましたが、さらに、この杉原千畝氏の功績や足跡を後世に伝えるにふさわしい記念、顕彰のあり方、そして、その記念、顕彰のモニュメントのようなものを名古屋市や記念館を設置しております岐阜県八百津町などとも連携、協力をしながら、また、学校関係の皆さんの声もお聞きしながら、しっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。