平成29年3月2日

◯五十一番(いなもと和仁君) それでは、通告に従いまして三つの項目について質問をいたします。
 縦横無尽に走り回る、決して事故を起こさない車、宇宙空間を飛び交う飛行船。幼いころ、遠い未来の空想の出来事が、近い将来、現実になろうとしております。
 交通事故、交通死亡事故死がなくなる社会に願いを込めて、自動走行の推進についてより質問を行います。
 自動車につきましては、改めて顧みますと、一九〇八年のヘンリー・フォードによる大量生産方式の開始以来、世界中に急速に普及が進み、現代の生活に必要不可欠なものとなっております。
 この百年以上にわたって、絶え間のないイノベーションを繰り返し、現代の高度な自動車が構築されました。
 しかしながら、ガソリンエンジンによる駆動、運転者による運転といった基本的な構造は、これまで大きな変化はありませんでした。
 これが、今、大きな転換期に差しかかっております。
 一つは内燃機関の変化であります。
 ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車といった、高度な技術や知見を生かした新しい動力源を備えた自動車が続々と世の中に供給されております。
 そして、もう一つの動きが、高度な情報通信技術、ネットワーク化の急速な進展に伴う自動走行システムの流れであります。
 この自動走行システムをめぐっては、技術開発、産業構造に与える影響の大きさから、国内外の自動車メーカーやIT企業などによる技術開発競争、市場争奪の潮流はますます激化しております。
 こうした中、政府においては、二〇二〇年開催の東京オリンピック・パラリンピックを一つのゴールと定め、無人自動走行による移動サービスや高速道路での自動走行の実現に向けた工程表として官民ITS構想・ロードマップ二〇一六を策定し、内閣府における戦略的イノベーション創造プログラムや、関係省庁など官民が一体となって、自動走行に関連する事業を推進しております。
 具体的には、内閣府が平成二十九年九月ごろ、高速道路や一般道といった公道等での大規模な実証実験を予定しております。
 また、経済産業省と国土交通省が今年度からスマートモビリティシステム研究開発・実証事業を実施しており、その中で、専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証を目指しております。
 さらに、去る二月十六日には、安倍総理大臣が出席した日本経済再生本部の第五回未来投資会議が開催され、自動走行による移動革命が議題として取り上げられました。
 ここでは、二〇二五年の自動運転社会の到来を見据え、二〇二〇年までに、完全自動運転を含む高度な自動運転、レベル三の市場化、サービス化の実現を目標として設定し、二〇一七年度中をめどに、完全自動運転等の実現のため、政府全体の制度整備の方針を策定する旨が示されました。
 今まさに、政府が一丸となり、世界に先駆けて自動走行の社会実装を目指すという力強い決意が見えてまいります。
 一方、私ども愛知県も、国に引けをとらない、全国に先駆けた施策を展開しております。
 御承知のことと思いますが、愛知県の製造品出荷額等は昭和五十二年以来三十八年連続日本一となっており、産業首都あいちとして、世界をリードする日本一の産業革新・創造拠点の形成を担っております。
 この中で、本県自動車産業は県内製造品出荷額等の半分以上を占め、従業員数も約三割となるなど、その集積は全国一位であり、日本のみならず世界的にも、産業、経済の発展をリードをしていることは言うまでもありません。
 この本県の基幹産業である自動車産業が将来にわたり競争力の優位性を維持し、さらに拡大していくことは、本県の産業振興や地域経済において極めて重要な課題と考えられ、その対応は県政の最重点課題の一つであります。
 本県は、自動車安全技術を推進する産学行政連携による自動車安全技術プロジェクトチームを設置し、大手自動車部品メーカーや大学などが公道で行う自動走行の実証実験の円滑化に向けたワンストップサービスを展開、また、自動走行を含む自動車安全技術に係る研究開発・実証実験については、新あいち創造研究開発補助金により、直接支援をしております。
 さらに、平成二十七年八月、国の国家戦略特区に地域指定されたことを受け、自動走行実証プロジェクトを推進しております。
 この一環として今年度は、山間地や離島など、道路、周辺環境が異なる県内十五カ所で実証実験を行い、そのうちの四カ所では自動走行に関する県民ニーズや社会的受容性を把握するモニター調査を行ったところであります。
 こうした本県の自動走行の推進に向けたさまざまな取り組みを全国に先駆けて実施していくことで、自動車産業の持続的な成長を促し、引き続き本県がこの重責を果たしていくことが求められると考えております。
 そこでお尋ねを申します。
 今年度、自動走行の実証実験の一環として、実際に県民の皆様を対象とした試乗を通じてモニター調査を実施しておりますが、具体的にどのようなことが明らかになってきたのかお尋ねをいたします。
 また、自動走行の社会的受容性のさらなる醸成や、企業、大学における自動走行システムの高度化に向け、来年度はどのように取り組みを行う予定なのかお尋ねをいたします。
 次は部活動についてであります。
 ある日、車を運転中ラジオから、土日の部活動をどう思いますか、リスナーの皆さん、御意見を待っていますと、アナウンサーの声が聞こえてまいりました。
 土日の部活動がなくなると対外試合が減ってしまいます、大会や発表会に向けての練習が足りなくなってしまいますというものや、生徒や保護者にとっては負担が軽くなるといったものなど、いろいろな意見がリスナーから寄せられました。私は学生時代、人一倍部活動に励んでまいりましたが、この部活動が生徒や保護者の負担になるから縮小すると話題になったとき、これではますます児童生徒の体力低下に拍車がかかってしまうのではないかと危惧をいたしました。
 しかし、最近のマスコミの報道により、私の認識は全く間違っていたことに気がついたのであります。
 今、問題となっているのは、生徒や保護者の負担ではなく、教員の負担のことでありました。
 過度な部活動による教員の長時間労働は、部活動指導を希望しない先生にとってはそのつらさから、ブラック部活とも言われているそうであります。
 現在、政府が働き方改革に取り組む中、部活動を初めとした教員の時間外における勤務のあり方も問われ始めております。
 日本の教員の労働時間は他国に比べて長いと言われております。平成二十五年の調査では、中学校教員の一週間当たりの勤務時間は、OECD加盟国で最長の五十三・九時間、ちなみに調査参加国の平均は三十八・三時間であったそうであります。特に、部活動など課外活動の指導時間は七・七時間で、参加国平均の二・一時間を大きく上回っております。
 そして、指導者不足も深刻な問題であります。
 名古屋市など一部自治体では、専門でない顧問の先生方の負担軽減のために、部活動の指導を外部指導者に委ねているようでありますが、人材や財源の確保に加え、安全管理や責任体制に対する問題もあるとのことであります。
 私の地元の中学校でも一時期、地元ソフトボールのメンバーが野球部の練習の指導に当たっておりましたが、県外ではありますが、不審者が校内に侵入するといった事件の発生以来、学校は安全面から校門をぴしゃりと閉じるようになり、なかなか学校の敷地に入りにくくなってしまい、いつしか指導する姿がなくなってしまいました。
 報道によりますと、文部科学省とスポーツ庁が、教員の業務軽減策として部活動の休養日を適切に設けるように求める通知を、全国の教育委員会に出したということであります。
 部活動の休養日をめぐっては、スポーツ庁が昨年十二月に公表した中学校への調査によると、一週間の中で休養日を設けていないと回答した割合が約二二%、一カ月の中で土日を休養日に設定していない割合も約四二%に上がったことが判明しております。
 これらを受けてスポーツ庁は、部活動の適切な練習時間や休養日の設定のあり方をまとめたガイドラインを平成二十九年度に策定する方針を示しております。
 また、文部科学省は、学校現場での業務改善に取り組む重点モデル地域を全国で二十カ所程度指定するほか、専門家をアドバイザーとして各地に派遣する方針を示したとのことであります。
 これら一連の報道を見ますと、このような施策や社会の流れは、確かに教員の負担軽減につながるものだと思います。
 しかし、そもそも部活動は誰が主役なのでしょうか。私は、教員ファーストでなく児童生徒ファーストに立って考えるべきだと思っております。
 部活動が縮小してしまえば、経済的に余裕がある家庭の子供しか、スポーツクラブやスイミングクラブ、ピアノ教室や文化教室に通うことができなくなってしまうでしょう。教育面での格差が広がらないでしょうか。
 私も学生時代、部活動で先輩後輩のすばらしい関係を経験し、夏休みには朝早くから夕方まで真っ黒になって部活動に熱中をいたしました。これら一つ一つが生徒にとって青春の思い出となり、まさしく教育の一環であると思います。
 そこで、現在いろいろな視点から話題となっております部活動について、三点、教育長にお尋ねをいたします。
 まず、学校教育における部活動の意義や役割について、どのようなものとお考えなのかお尋ねをいたします。
 また、外部指導者の活用における現状と今後の方向性についてお尋ねをいたします。
 そして、三点目として、平成二十九年に国の方針が示されるとのことでありますが、愛知県独自のガイドラインの策定についてお尋ねをいたします。
 最後に、国民健康保険制度の見直しについてお尋ねをいたします。
 市町村が運営する国民健康保険は、他の医療保険制度に属さない全ての人が加入する、国民皆保険制度の最後のとりでとして重要な役割を果たしてきました。全国の国保の加入者は平成二十七年三月末で三千三百万人であり、二千九百万人が加入する健康保険組合や、三千六百万人が加入する協会けんぽとともに、我が国の医療保険制度を担っております。しかしながら、国保は他の被用者保険に比べ、高齢者や保険料の負担能力の弱い方を多く抱えているため、苦しい運営が続いております。
 昭和三十六年の国民皆保険制度の発足以来、市町村国保の加入者の職業は、農林水産業が四五%、自営業が二四%と、全体の七割を占めておりました。しかし、半世紀以上を経た平成二十六年で見ますと、職業構造は大きく変化し、農林水産業は三%、自営業は一五%と大きく減少する一方で、年金受給者を主とした無職の方は四四%まで増加いたしました。市町村国保の加入者一人当たりの平均所得は八十六万円となり、サラリーマンが加入する健康保険組合の二百七万円と比べますと、半分以下となっております。
 また、加入者の年齢構成を見ますと、サラリーマンが定年退職後に被用者保険から市町村国保に加入するケースが多くなっておりますので、六十五歳から七十四歳までの高齢者が加入者の四割を占めております。一般的に高齢者ほど病気にかかりやすくなるため、国保の医療費水準は他の被用者保険に比べ高くなっております。一人当たりの医療費では、市町村国保は三十三万円程度で、健康保険組合の十五万円程度に対して倍以上になっております。
 また、国保を運営しております全国千七百十六の市町村のうち約四分の一は加入者数が三千人未満の小規模な保険者とのことであり、過疎化や高齢化が進めば存続が危ぶまれる状態でございます。
 例えば、今、話題となっている高額な肝炎やがんの治療薬などの使用による医療費の一時的で急激な増加があれば、小規模な保険者は破綻しかねません。こうした問題を解決するために、平成二十七年五月に成立した持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律により、平成三十年度からは新たに都道府県が市町村とともに国保の保険者となる大改革が行われました。
 今回の制度の見直しにより、平成三十年度以降の国保財政の仕組みがどのように変わるのかといいますと、県はまず、県全体で必要となる保険給付費などの見込みを立て、そこから国や県が負担すべき部分を除き、残る費用を市町村に納付金として割り振り、市町村からの負担を求めることになります。また、県は市町村からの納付金などをまとめ、各市町村で必要となる保険給付費などの費用を全額交付することになります。
 市町村としては、保険給付を賄うための費用が全額県から交付されるため、予想していないような医療費の増加があっても安心していられるということは非常に大きなメリットでありますが、県が定めた納付金は必ず納めなければなりませんので、その負担がどうなるのか、非常に心配なところでございます。
 国保財政が県単位に広域化する趣旨を考えますと、保険料のあり方は、県内であればどの市町村でも同じという均一的な保険料が理想的な姿とも考えられます。しかし、現在、県内の平成二十七年度の市町村国保の一人当たりの医療費では約一・七倍の格差が生じているとのことで、こうした医療費の格差を考慮せずに納付金を割り振ってしまうと、医療費を多く使っている市町村の負担は減る一方で、余り医療費を使っていない市町村の負担はふえてしまうという問題が生じます。
 市町村が県に納める納付金の算定方法の大枠は国が定めております。各市町村の県全体に占める加入者数の割合と所得の割合を基本に、医療費水準を考慮し案分することになります。算定に当たって医療費水準をどの程度反映させるかは県が決めることになっておりますので、慎重に判断する必要があります。
 また、現在は市町村単位で国保を運営しているため、それぞれの市町村で保険給付費などの見込みを立てて必要な保険料を徴収し、費用を賄っておりますが、平成三十年度からは県が各市町村に納付金を割り振ることになるため、市町村単位で見ると、これまでと比べ負担が増加するケースや、逆に減少するケースが考えられます。
 平成三十年度の新制度への移行を円滑に進めるためには、市町村の負担が大幅にふえるようであれば、保険料が急激に上昇することのないような対策を十分に講じるべきだと考えております。
 このような観点から、納付金等の算定方式などを決定するに当たっては、県と市町村が十分に話し合いを行い、市町村にとって納得できる内容としていくことが必要と考えられます。県は昨年六月に、市町村と話し合う場として連携会議を立ち上げ、納付金の算定方法についての検討を行ってきたと聞いておりますが、こうした算定のルールづくりにおいては幾つかのシミュレーションを行い、市町村の負担額はどう変わるかを見きわめる必要があります。国は納付金等の試算を行うためのソフトを昨年十月に各都道府県に配付し、各都道府県はそれぞれ納付金の試算を行っているとのことでありますが、本県においても今回、納付金の試算を行ったと伺っております。
 そこで、次の三点についてお尋ねをいたします。
 まず、本県の市町村における医療費水準がどの程度なのか、また、医療費水準の反映を含め、今回、県が行った納付金の試算結果はどのようであったのかについてお尋ねをいたします。
 次に、納付金方式への移行に伴う市町村の負担の増額についてはどのような要因が考えられるのか、また、こうした負担の増加に対し制度上どのような対応ができるのか、さらに、平成三十年度の納付金の算定に向けて県はどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 最後に、各市町村において加入者が支払う実際の保険料はどうなるのかお尋ねをいたしまして、私の壇上よりの質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)


◯産業労働部長(吉澤隆君) 自動走行の推進に関するお尋ねのうち、まず、今年度実施しましたモニター調査の結果についてお答えをいたします。
 まず、今年度の自動走行の実証実験につきましては、先月二十四日をもって、県内十五カ所全てを終了したところでございます。そのうちモニター調査につきましては、山間地や離島などの交通不便地であること、移動手段の確保が求められる高齢化が進む地域であることといった観点から、将来的に無人タクシーの利活用の可能性が高いと考えられます四カ所におきまして実施をいたしました。
 具体的には、南知多町の日間賀島、春日井市の高蔵寺ニュータウン、設楽町、そして豊田市の下山地区におきまして、それぞれの地域にお住まいの方を中心に、二十代から七十代まで幅広く、約百二十名の方に自動走行車両に御試乗いただきました。
 また、車内では、案内アプリケーションを搭載したタブレット端末を活用して目的地までの音声案内を行うことなどによりまして、無人タクシーを疑似体験いただいたところでございます。
 主な調査結果といたしましては、高齢者の移動支援を七九%の方が、また、交通事故の削減を七五%の方が、それぞれ自動走行車への期待する項目として選択する一方で、心配な点といたしましては、機械の故障等による事故発生を八一%の方が、事故の責任の所在が不明確を七一%の方が挙げられました。
 また、試乗後に自動走行社会の到来に賛成と答えた方は八〇%に上り、さらに、試乗時の安全性については七二%の方が危険を感じることはなかったという結果から、自動走行に対する理解と期待が高まったものと考えております。
 最後に、将来的な無人タクシーの利用意向については、確実な送迎や事故の減少に寄与するなどの理由から、七二%の方が利用したいとの回答がありました。
 より円滑な走行システムの構築や保険制度の確立など、さらなる技術開発や制度設計が必要となる事項も存在いたしますが、本モニター調査の結果からは全体として、利用者の自動走行に対する高い社会的受容性が確認できたと認識いたしております。
 続きまして、平成二十九年度の取り組みについてお答えいたします。
 平成二十九年度は、さらに技術を高度化させ、遠隔型自動走行システムなどを活用した実証実験を、県内の最低四カ所で実施してまいりたいというふうに考えております。
 実施に当たっては、警察庁の自動運転の段階的実現に向けた調査検討委員会の検討結果や、それを踏まえ本年五月に公表が予定されている、遠隔型の公道実証実験に対するガイドラインなどに従って、閉鎖空間はもとより、通常の公道も視野に入れ、法令上最大限可能な環境のもとで、最先端技術を活用した新しい自動走行実証推進事業を展開していきたいと考えております。
 今後、年度の早い段階で事業実施の委託事業者を公募し、市町村との協力のもと、速やかに事業を進めてまいりたいと考えております。
 こうした最先端技術を活用した実証実験を積み重ね、県民の皆様の社会的受容性のさらなる醸成を図ることに加え、自動走行技術の進展を見据えた新たなビジネスモデルの創出に向けた取り組みを開始してまいります。
 具体的には、県内を中心とする自動車関連を初めとした企業等約千七百社を対象に、自動走行システムを活用した新たなビジネスの可能性や課題等について、アンケート及びヒアリング調査を実施し分析するとともに、その結果を踏まえテーマ別の研究会を立ち上げ、新たなビジネスモデルの具現化に向けた議論を進めてまいりたいというふうに考えております。


◯教育長(平松直巳君) 部活動について三点お尋ねをいただきました。
 まず、学校教育における部活動の意義や役割についてお答えをいたします。
 部活動は学習指導要領において、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するもので、学校教育の一環であると位置づけられており、本県におきましてもこうした趣旨に沿って、運動部、文化部のいずれも熱心に活動が行われております。
 運動部においては、スポーツに親しみ、体力の向上を図るだけでなく、互いに競い、励まし、協力する中で友情を深め、フェアプレーの精神を学ぶなど、その活動は人生の糧となる大変有意義なものでございます。
 文化部につきましても、文化や科学等に親しみ、みずからを高め、仲間とともに発表や表現することで達成感を得たり、自己肯定感を育んだりすることができる貴重な活動の場になっております。
 部活動はこのように、生徒の生きる力の育成や心身の成長と豊かな学校生活の実現につながり、さらには、保護者や地域から生徒の社会性を育成する場としても期待されるなど、重要な役割を果たしているものと考えております。
 次に、外部指導者の活用についてであります。
 部活動の指導は、教員に加え、専門的知識を持った地域人材等と連携することでより高い効果が期待できますことから、本県におきましても外部指導者を配置し活用することにより、部活動を支援しているところでございます。
 現在、県立高校百三十九校に対しまして、運動部に百五十九名、文化部に九〇名の部活動専門指導員を配置しており、顧問の教員を補佐して、生徒に技術的な指導をしていただいております。
 また、武道や茶華道などの専門的な指導を担当する非常勤教師を、県立学校百五十二校に四百七十四名配置しているところでございます。
 さらに、国の委託事業である運動部活動指導の工夫・改善支援事業を活用して中学校等へ外部指導者を配置し、外部指導者と連携した部活動指導の有効性について調査研究を行い、その成果を市町村教育委員会等へ普及啓発を図っております。
 今後の方向性でございますが、現在、国において外部指導者制度について検討が進められており、大会引率等が行える教員以外の専門スタッフとして新たに部活動指導員(仮称)を法令に位置づける予定とされております。
 本県におきましても、現行の配置事業のさらなる適正化により効果的な部活動を推進するとともに、こうした国の動向を注視しながら制度の見直しや新たな配置の検討を進め、部活動が生徒にとって、より有意義な活動となるように、外部指導者の活用に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、ガイドラインの策定についてでございます。
 議員お示しのように、国では平成二十九年度末を目途として、スポーツ医・科学の観点や学校生活等への影響を考慮した練習時間や休養日の設定を含む、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)を策定することとしております。
 本県といたしましては、国のガイドライン策定の動向を踏まえつつ、平成三十年度のできるだけ早い時期に、本県の実情に沿った独自の部活動指導ガイドラインを作成したいと考えております。
 そのため、今後、部活動指導に関する実態調査を行うとともに、教育委員会事務局内にワーキンググループを立ち上げ、部活動の運営体制、学校種別ごとの適切な指導のあり方や練習時間の設定等について、検討を進めてまいります。

◯健康福祉部長(長谷川洋君) 国民健康保険制度の見直しに関するお尋ねのうち、まず、納付金の算定に用いる市町村の医療費水準についてお答えをいたします。
 地域ごとに病院や診療所などの医療資源は偏在しておりまして、それに伴って市町村ごとの医療費水準にも差が生じております。納付金の試算においては、原則として市町村ごとの医療費水準を反映させることになっており、医療費水準が高ければ納付金がふえるということになります。また、医療費水準には、高齢者の割合など、年齢構成が大きな影響を与えるため、試算においては五歳階級別の全国平均の医療費単価をもとに、それぞれの市町村の年齢構成に合わせて調整した医療費水準を用いることになっております。
 この調整後の医療費水準は、全国平均を一として、それに対する指数であらわされますが、本県においては全ての市町村が全国平均を下回っております。市町村ごとの指数で比較いたしますと、最も低い〇・七七六から〇・九九三までございまして、市町村の間では一・二八倍の格差が生じているところでございます。
 次に、納付金の試算の結果についてお答えをいたします。
 今回の納付金の試算においては、平成二十九年度における保険給付費の見込み、国や県が負担する公費や被保険者数等の推計値をもとに算定を行っております。なお、国は平成三十年度以降、毎年全国で約千七百億円規模の新たな財政支援を行う予定としておりますが、制度の詳細がいまだ明らかになっていないことから、今回の試算ではこの財政支援は考慮をいたしておりません。
 医療費水準の反映につきましては、市町村ごとの平成二十七年度の決算をもとにした納付金相当額と比較をいたしますと、医療費水準を全て反映した場合に、市町村単位で二十七年度と比べた増加額、減少額が最も少なく、変動が小さい結果になりました。こうしたことから、医療費水準については全て反映する方向で、今後、市町村と協議してまいりたいと考えております。
 次に、試算結果についてでございますが、医療費水準を全て反映した場合、平成二十九年度の被保険者一人当たりの納付金額は、県平均では十二万三百十八円で、市町村ごとに見ますと、最高の十六万三千九百五十円から最低で九万二千二百二十二円までとなっております。
 この平成二十九年度の一人当たり納付金額を、平成二十七年度決算に基づく納付金相当額と比較いたしますと、県平均では平成二十七年度の十一万六千二百六十八円から約三・五%増加することになります。二十七年度対比を市町村別に見ますと、県平均の三・五%増から一〇%以上大幅に増減する市町村が十九市町村ございまして、内訳としては、一三・五%以上増加するのが十三市町村、六・五%以上減少するのが六市町となっております。
 平成二十七年度決算ベースと比較したこうした負担の増減の要因でございますが、新制度移行後の各市町村への納付金の割り振りは、県全体に占める被保険者数の割合と所得の割合を基本に案分することになっておりまして、医療費水準が同程度であっても所得水準が高い市町村ほど納付金額が大きく、市町村ごとの所得水準が納付金額に影響をいたしております。
 また、これまで市町村ごとに受け入れておりました国からの公費や、健保組合など他の被用者保険からの交付金などを、県がまとめて一括で受け入れるというような算定方法の変更による影響もございまして、市町村の負担は増減が生じるということになっております。
 次に、この市町村の負担増に対して制度上どのような対応ができるかについてでございますが、納付金方式への移行に伴う負担増に対しては、激変緩和のための措置として、国は新たに全国で三百億円規模の特例基金を各都道府県に設置することとしておりますので、まずはこの基金を活用するということになります。
 また、現在、医療給付費の九%相当額を市町村に交付している県調整交付金の一部を活用することが可能とされておりますので、市町村と具体的な活用方法を十分に協議し、必要があれば負担の増加を緩和するような措置を講じてまいります。
 次に、平成三十年度の納付金の算定に向けた今後の取り組みについてお答えをいたします。
 今回の試算の結果、二十七年度対比で負担の増減が生じた最も大きな要因は、前期高齢者交付金の算定が市町村単位から県全体に変更されたことによるものと考えております。前期高齢者交付金といいますのは、六十五歳から七十四歳までの前期高齢者の加入割合が、国保とサラリーマンを主な加入者とする健保組合では大きく異なっておりますので、その不均衡を是正するため、保険者間で財政調整を行う制度でございます。
 この前期高齢者の加入割合を見ますと、県平均では四〇・六%となっておりますが、市町村ごとでは二八・四%から五六・九%まで、この間で、市町村の国保加入者の状況によりかなりばらつきが生じておりまして、この格差が納付金の試算結果に大きく影響したものと考えております。
 このような今回の試算で明らかになりました算定上の課題や市町村の意向を踏まえ、今後、国に対しましては、算定方法の改善や激変緩和の措置の拡充を求めてまいりたいと考えております。
 最後に、加入者が支払う実際の保険料がどうなるかという点についてお答えをいたします。
 県は市町村に対し、納付金額を決定し、また、その納付金額をもとにした標準保険料率をお示しすることになっております。
 市町村におきましては、県に納付する納付金の財源を確保するため、県から示されました標準保険料率を参考にしながら、市町村の御判断で実際に徴収する保険料率を定めるということになります。

◯知事(大村秀章君) いなもと議員の質問のうち、自動走行の推進について、私からもお答えをいたします。
 今年度、県内十五市町の協力のもと公道におきまして、全国的にも類例を見ないほどの大規模な実証実験を安全裏に実施し、御乗車いただきました県民の皆様方からは高い支持をいただき、また、社会的受容性の高さを確認することができました。
 自動走行に係る技術は着実に進歩し、制度面でも自動走行の社会実装に向けた動きも進行しております。そのため、新年度は、最新の技術開発動向や国の規制緩和の動きに連動し、最先端のレベル四の遠隔型自動走行システムなどを活用した実証実験を開始し、県民の皆様のさらなる社会的受容性を醸成してまいります。
 本事業の実証実験場所の提供や事業展開に御協力、御参画いただける市町村の意向を確認したところ、今年度の十五市町を上回る三十一の市町村から応募をいただいて、御意向をいただいておりまして、改めて自動走行システムに対する関心の高さや期待の大きさを認識したところでございます。
 一方、自動走行システムの技術開発には、自動車関連企業だけではなく、IT企業や電機メーカーも参入するなど、世界規模での競争が加速をいたしております。
 本県といたしましては、こうした動きを大きなチャンスとして捉え、自動車産業の一大集積地であるという強みを生かして、企業、大学、市町村など関係機関との一層の連携を図りながら、自動走行システムの活用による新しいビジネスモデルの創出に着手をしてまいります。