平成29年9月28日

◯五十一番(いなもと和仁君) それでは、通告によりまして、三つの項目につきまして質問をいたします。ちょっと肩の力を抜いて質問をさせていただきます。
 まず初めに、発達障害医療に関連しまして、あいち小児保健医療総合センター心療科の心身障害者コロニーへの移管についてお尋ねをいたします。
 あいち小児保健医療総合センター心療科は、児童精神科医、小児心療内科医といった専門家が臨床心理士とチームを組み、診断と治療に当たっており、全国でも数少ない、子供の心の問題の治療を行う専門医療機関として、他の医療機関では対応が難しい症例、そして諸問題に対して取り組んでおります。
 心療科疾患の中でも、発達障害については、テレビやインターネット上において、芸能人がみずからの発達障害を告白する等により、その存在や理解の難しさが世間に認知され、関心が高まっております。
 平成二十四年に文部科学省が行った調査によりますと、小中学校の通常学級には、知的発達におくれはないものの、学習面や行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒が六・五%いるという結果が出ております。つまり、三十人学級の場合、一クラスに二人はいるという計算になります。
 この調査結果は、医師の診断によるものではなく、教員から見た結果でありますので、集中できない、考えるよりも先に行動してしまう、待てないといった、発達障害ではない人にもありがちな症状を持つ児童生徒については、それが単に個性的であるだけなのか、発達障害なのか、教員には見きわめづらい状態にあります。
 その見きわめづらい、いわゆる発達障害のグレーゾーンにいる児童生徒は、この調査の六・五%には含まれておりません。また、この六・五%という数字だけを見ましても、知的障害のある児童の数と比べ数倍に及ぶ数字であり、グレーゾーンにいる児童生徒まで含めると、発達障害の疑いがある児童生徒は少なくないことがよくわかります。
 発達障害は、人と上手につき合えない、相手の言ったことがうまく理解できないなど、外見からはわかりにくく、叱られたり仲間外れにされることが多いため、本人が自信をなくし、将来、不登校やひきこもりなどになる可能性も高くなると言われております。そのため、親や周囲の人たちが、発達障害に早期に気づき、早期に支援していくことが大切であるとされております。
 しかしながら、発達障害への対応については、身近な医療機関での初期診断による障害の早期発見と迅速な対応が必要とされているものの、発達障害に熟知し、適切に対応できる医師等が不足しており、その対応が必ずしも十分とは言えない状況にあります。
 県では、心身障害者コロニーを、発達障害を初めとする障害児者医療の拠点施設と位置づけ、あいち小児保健医療総合センターが担ってきた、アスペルガー症候群などの知的障害を伴わない発達障害の患者さんも、心身障害者コロニーで担うことにするため、あいち小児保健医療総合センター心療科を心身障害者コロニーへ統合することといたしました。この統合により、本県における発達障害医療を一元化することができ、拠点施設としての機能を発揮できるものと期待をしております。
 その心身障害者コロニーについては、医療療育総合センターとして平成三十年度末の開所に向け、整備を進めておられると聞いております。
 今後、医療療育総合センターとして医療支援等の運営体制の検討が進められていくと思いますが、あいち小児保健医療総合センター心療科の移管を受ける心身障害者コロニーでは、患者の受け入れ体制をどのように整えていくのか、お尋ねをいたします。
 また、現在、あいち小児保健医療総合センター心療科には、延べ人数ではありますが、年間一万人を超える患者さんが通院しておられます。
 それらの患者さんたちは、大府市にあるあいち小児保健医療総合センターから、春日井市にある心身障害者コロニーへと、通院する場所が変わることとなります。
 現在、あいち小児保健医療総合センターを御利用になられている患者さんやその御家族が心身障害者コロニーへ通院するとなると、通院に要する時間の増加や公共交通機関の問題などの面で、負担が大きくなると思われます。
 そこで、通院されている方々の負担をできる限り少なくし、利便性を確保することが重要であると考えますが、どのような対策を検討しておられるのか、お尋ねをいたします。
 次に、空き家対策の推進についてお尋ねをいたします。
 今年の二月議会で、空き家対策についての質問がございました。若干質問の内容で重複する部分もございますが、私からは、空き家対策を広く捉えて、少し違った視点からお尋ねしたいと思います。
 まずは今さらではありますが、空き家対策について再度確認をいたします。
 あそこの家が壊れそうで危ないがね、ごみが不法投棄されどえりゃあ臭くてたまらんわ、不審な人が出入りしている、おそがくて近くを通れんがね、まあ、こんな名古屋弁、隣の市長さんにまさるとも劣らない名古屋弁が私の近所でも飛び交っておりますけれども、先生、早く何とかしてちょう、そんな相談や陳情を受けたことが、議場の皆さんにもあると思います。
 私の家の近くにも、もう十数年誰も住んでいない空き家があり、今では雑草が生い茂り、野良猫の格好のすみかとなっております。
 今、空き家対策が社会的な問題となっております。
 総務省統計局が五年ごとに実施する住宅、土地の統計調査の結果を公表しておりますが、平成二十五年の空き家の数は全国で約八百二十万戸、空き家率は一三・五%であり、民間調査会社によれば、二〇三三年には三〇・二%、およそ三軒に一軒が空き家になるとの予測もあります。
 一方で、平成二十五年の県内における空き家の数は、四十二万二千戸、率にして一二・三%となっており、全国平均を下回るものの、今後、本県においても空き家が増加する可能性もあり、その対策も大きな課題の一つと考えます。
 さて、一口に空き家といっても、常時人は住んではいないが使っている二次的住宅、貸したいのに借り手がつかない賃貸用住宅、売りたいが買い手がつかない売却用住宅、使用用途が明確でないその他の住宅の四つに分類されますが、今、問題となっておるのは、その他に分類されている空き家であります。
 では、なぜ空き家がふえるのでありましょうか。
 まず一つは、高齢化であります。同居家族がいない高齢者が病院や介護施設に入り、持ち家がそのまま空き家になってしまうケースであります。
 二つ目として、相続の問題であります。実家を相続した人が既に別の住まいを持っている場合で、相続した住宅に住まなく、空き家になるケースであります。
 三つ目として、住みかえであります。利便性のよい場所への住みかえにより、今までの住まいが空き家となるケースであります。
 そして、四つ目として、固定資産税の増加であります。更地になると土地に係る固定資産税が最大六倍となり、また、当然、住宅の解体費用もかかるため、空き家として放置していくケースであります。
 一方で、こうした空き家に対して、今までどういった政策がなされているのかであります。
 まず、空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空き家法が平成二十六年に公布され、翌二十七年に施行されました。施行から二年が経過した現在、各市町村が主体となって、空家等対策計画の策定や協議会の設立、あるいは空き家の利活用に向けた取り組みとして、空き家バンクの設置など、さまざまな空き家対策が講じられているところであります。
 また、空き家法では、県は、市町村に対する情報提供、技術的な助言、市町村間の連絡調整、財政的支援などにより、空き家対策に取り組む市町村の支援を行うこととされております。
 そこで、本県では、県と県内全市町村から成る連絡会議を設置し、先進的な事例の情報提供や、各市町村間の情報交換などを行っていると伺っております。
 ここまでが復習であります。ここからは、空き家対策について、最新の動きを少しお話しさせていただきます。
 全国的な取り組みとして、本年八月三十一日に、空き家問題に関する情報交換、共有や、専門家と連携した対応策の協議、検討、あるいは実践的な空き家対策について政策提言などを行うことを目的として、全国の市町村を初めとする九百五十の団体等で構成する全国空き家対策推進協議会が設立されました。空き家対策にどのように取り組んでいくのか、今後の動きに注目をしているところであります。
 また、一方で、本来は別の取り組みではあるものの、空き家対策となり得るものが新たにできました。住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律、いわゆる改正住宅セーフティネット法がこの四月に公布され、関連する省令や関連告示の概要案については、九月二十一日にパブリックコメントの募集を終えたばかりでありますが、この十月二十五日には施行されるとのことであります。
 改正住宅セーフティネット法では、今後増加する見込みである高齢者や障害者世帯、子育て世帯、低額所得者等の、住宅の確保に特に配慮を要する、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設が盛り込まれておりますが、これは民間住宅の空き家を活用した取り組みであり、新たな空き家等対策の一つとして考えられます。
 空き家対策は、早急な対応が求められる課題であり、今後ますます対象の増加が予想される中、ともすれば老朽化して危険な空き家を取り崩すことばかりが注目されがちでありますが、空き家の活用策として、空き家バンクのみならず、改正住宅セーフティネット法による民間賃貸住宅の活用も含め、空き家を新たな住宅として活用する取り組みもまた重要であると思います。
 そこでお尋ねをいたします。
 空き家対策について、これまで県はどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 最後に、水質浄化、特に伊勢湾、三河湾の浄化に向けた合併処理浄化槽の整備促進についてお尋ねをいたします。
 愛知県は、製造品出荷額が三十九年連続日本一である全国一の物づくりの県でありますが、環境の面でも、環境をテーマとした愛知万博や生物多様性条約第十回締約国会議の開催を通じ、持続可能な社会への意識が高まるとともに、県民参加の機運が根づいてきております。
 こうした中で、県は、県民の高い環境意識や産業力、技術力を生かし、県民みんなで未来へつなぐ環境首都あいちの実現を目指して、第四次環境基本計画を策定し、さまざまな施策に取り組んでおります。
 この目標である環境首都あいちの実現に向けて、安全で快適に暮らせる愛知を基調とした地域づくりを進めるためには、恵み豊かな伊勢湾、三河湾の環境再生も大きな課題であります。
 伊勢湾、三河湾は、人口や産業の集積に伴い、大量の汚濁物質が流入する閉鎖性水域であることから、県は、昭和五十五年から七次にわたる総量削減計画に基づき、流入負荷削減を行ってまいりました。今年六月二十七日には、第八次総量削減計画を策定し、総合的な水質環境の保全対策の一層の推進をしております。
 しかしながら、伊勢湾、三河湾の現状を見ると、水質汚濁の主要な指標であるCOD(化学的酸素要求量)について、環境基準の達成率は、平成二十八年度は五五%であり、長期的には横ばいとなっております。
 そこで、まず、伊勢湾、三河湾の水質汚濁の主な原因が何であるのか、また、第八次総量削減計画ではどのような対策を進めていくのか、御説明をいただきたいと思います。
 次に、生活排水対策、とりわけ今後一層その役割が大きく期待される合併処理浄化槽の整備促進について、順次お尋ねをいたします。
 先ほど質問もいたしましたけれども、私は伊勢湾、三河湾の水質浄化には、生活排水対策を進めていくことが重要であると考えております。
 生活排水対策としては、下水道や農業集落排水処理施設等もありますが、下水道未整備の地域においては、下水道と同等の水処理能力を持つ合併処理浄化槽を適切に整備し、負荷量の低減を図っていく必要があります。
 合併処理浄化槽は、し尿のほか、台所や風呂などの生活排水をあわせて処理できるものでありますが、本県では、し尿しか処理できない単独処理浄化槽、いわゆるみなし浄化槽が、平成二十七年度末現在で約三十七万基と、全国一位の設置基数となっており、伊勢湾、三河湾の水質汚濁の大きな要因の一つとなっております。
 みなし浄化槽は、平成十二年の浄化槽法の改正により、新規に設置することが禁止されたものでありますが、法改正後、相当年数が経過しているにもかかわらず、いまだにこれだけ多くのみなし浄化槽が残っているのが、本県の現状であります。
 現在、個人が設置する合併処理浄化槽の整備に対して、その一部を補助しているところでありますが、平成二十九年度の補助設置計画基数は、県内の合計で二千五十七基であり、三十七万基の転換にはほど遠い状況にあると言えます。
 そこでお尋ねをいたします。
 私は、伊勢湾、三河湾の水質浄化のためにも、これらのみなし浄化槽を合併処理浄化槽へ速やかに転換していくことが必要と考えておりますが、県の考えをお尋ねいたします。
 現在、県内で整備される浄化槽は、個人や法人などにより設置されておりますが、環境省では、市町村が合併処理浄化槽を設置し維持管理する浄化槽市町村整備推進事業、いわゆる市町村設置型事業を推奨しております。
 これは、県民の負担がより一層軽減されるものであり、全国では、約一七%の市町村が事業を実施、または実施予定とされております。
 そこでお尋ねをいたします。
 みなし浄化槽から合併処理浄化槽への転換を進めるためには、市町村設置型事業の積極的な導入が有効と考えます。愛知県における市町村設置型事業の現状とその推進について、県のお考えをお尋ねいたします。
 さらに、浄化槽は、浄化槽法に定める保守点検、清掃、法定検査といった維持管理を適切に実施することにより、その機能を十分発揮できるものであります。しかしながら、県内の浄化槽における維持管理は、例えば、浄化槽法第十一条に基づく法定検査の受検率では、平成二十七年度で本県は一八・五%と、全国平均の三九・四%を大きく下回っており、全国ワーストテンの状況にあります。
 良好な水環境を確保、維持するために、これら維持管理の完全実施に向け、県の強い指導力を発揮して取り組む必要があると考えます。
 そこで、浄化槽の維持管理の実施を徹底するため、県はどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
 いずれにいたしましても、環境首都あいちの実現のために、伊勢湾、三河湾の水質改善は大きな課題であり、水質改善のためには、合併処理浄化槽の整備促進を含めた生活排水対策が不可欠であります。県当局の積極的な答弁を求め、私の壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯健康福祉部長(長谷川洋君) 最初に、あいち小児保健医療総合センター心療科の移管を受ける、心身障害者コロニーでの患者の受け入れ体制についてお答えいたします。
 平成二十三年十一月に策定した愛知県地域医療再生計画において、あいち小児保健医療総合センターと心身障害者コロニーの機能を再編し、心身障害者コロニーを、発達障害を含めて障害児者医療の拠点施設とするため、あいち小児保健医療総合センターにあります心療科を心身障害者コロニーへ移管することといたしました。
 あいち小児保健医療総合センター心療科の移管時期については、当初、コロニー再編整備後の医療療育総合センターの開所時としておりましたが、開所時期が平成二十九年度から平成三十一年三月に延期となりました。
 一方、あいち小児保健医療総合センターでは、小児三次救急体制を全面実施するため、心療科病棟を救急棟の後方支援病床として速やかに使用する必要がございましたので、医療療育総合センターの開所に先立ち、平成三十年四月に心療科を移管することといたしました。
 心身障害者コロニーでは、平成三十年四月からあいち小児保健医療総合センター心療科の患者さんを受け入れるため、本年度心身障害者コロニーの中にあります機能訓練センターを改修し、病棟と院内学級の整備を進め、さらに平成三十一年三月には、新しい医療療育総合センターの本館棟に心療科の新病棟を設置し、より充実した医療の提供を行い、障害児者医療の拠点施設としての機能を発揮してまいります。
 次に、あいち小児保健医療総合センター心療科へ通院している方々の利便性を確保するための対策についてお答えをいたします。
 あいち小児保健医療総合センターの心療科は、発達障害など子供の心の問題を扱う専門医療機関であり、利用者は県内各地から通院されておりますので、県内各地からの公共交通機関の利便性がいい名古屋市内に心療科のサテライト機能を有する通院施設を確保することについて、検討をしてきたところであります。
 こうした中、名古屋市中区にあります愛知三の丸病院が、平成二十九年度から愛知三の丸クリニックとなり、病床がありました三階部分の利活用方法を検討していたことから、サテライト機能を有する心療科をここに設置することといたしまして、平成三十年四月の心療科病棟の開所に先立ちまして、来月十三日から診療を開始することとしております。
 なお、愛知三の丸クリニックの小児心療科の診療開始時には、週二日の診療日となりますが、平成三十年四月からは週五日に診療日をふやし、段階的に診療体制を整えてまいります。

◯建設部建築局長(海田肇君) 本県の空き家対策の取り組みについてお尋ねいただきました。
 空き家については、中心市街地や郊外住宅地、中山間地域など、それぞれの地域で状況が異なるため、市町村が地域の特性に応じた空き家対策に取り組んでいくことが重要であり、その取り組みを支援していくことが県の役割であると認識しております。
 本県では、空家等対策の推進に関する特別措置法の制定に先立ち、平成二十四年度から、県と県内全市町村から成る連絡会議を設置し、情報提供等を行うとともに、市町村が設置する協議会に参加し、その地域の状況に応じた助言を行ってまいりました。
 また、平成二十六年度には、市町村における相談窓口の対応の仕方等について解説した空き家相談マニュアルを作成し、現在、相談窓口が設置されている四十二市町村において活用していただいております。
 さらに、空家法施行後の平成二十八年度には、市町村が空き家バンクを設置する際に参考となる、空き家バンク物件登録等に関するガイドラインを作成し、現在、十六市町村において空き家バンクが設置されているところでございます。
 今年度からは、これらの取り組みに加え、県の財政的な支援として、国の補助制度を活用し、老朽化した危険な空き家等の除却や、空き家を地域の交流施設等として活用するための改修に対して、市町村と連携して所有者等に補助する制度を創設し、名古屋市を初めとする五市において取り組まれているところでございます。
 また、本年十月二十五日から施行される改正住宅セーフティネット法に基づく賃貸住宅の登録制度は、民間住宅の空き家等を活用して、高齢者や子育て世帯等の住宅確保要配慮者に対して賃貸住宅を提供していくものであり、空き家対策につながるものと考えております。
 現在、法施行に向けて、賃貸住宅の登録制度の準備を進めており、登録事務に係る手数料の新設について、手数料条例の一部改正案を今議会に提案させていただいているところでございます。
 本県では、市町村と連携したこれまでの取り組みに加え、新しく設立された空き家に関する全国協議会での協議、検討や、住宅セーフティネット法の改正により創設された制度を適切に運用することなどにより、今後も空き家対策の取り組みをしっかりと進めてまいります。

◯環境部長(菅沼綾子君) 伊勢湾、三河湾の水質浄化についてのお尋ねのうち、最初に、水質汚濁の原因と総量削減計画における対策についてお答えいたします。
 伊勢湾、三河湾はもとともと突き出した半島によって湾口が狭くなっていることから、外海と水の交換が行われにくく、汚濁物質が滞留しやすくなっております。
 そうした特徴に加え、産業の発展や人口の増加に伴い、産業活動や人々の生活から発生する水質汚濁物質の量が増加するとともに、水質浄化機能を持つ干潟や浅場が減少したことで、水質汚濁が進行したものと考えております。
 このため、本県では、本年六月に第八次総量削減計画を策定し、平成三十一年度を目標年度として、全ての発生源からの汚濁負荷量の総量を総合的、計画的に削減することとしております。
 この計画では、水質汚濁の代表的な指標でありますCOD等について削減目標を定めており、この達成に向け、事業場からの汚濁物質の排出量削減や、下水道、合併処理浄化槽等の整備を進めてまいります。あわせて、干潟の保全や造成なども行い、伊勢湾、三河湾の水質改善を図ってまいります。
 次に、みなし浄化槽から合併処理浄化槽への転換についてお答えいたします。
 平成十二年の浄化槽法改正により、いわゆるみなし浄化槽と呼ばれる単独処理浄化槽の新規設置は禁止となりましたが、既に設置されている単独処理浄化槽については、転換の義務づけがされず、法改正以前から浄化槽の普及が進んでいた本県では、転換を進めているものの、他県に比べて単独処理浄化槽の割合が高い状況であります。
 さらなる合併処理浄化槽の整備促進を図るため、県は、国の交付金制度を活用して、浄化槽設置者の費用負担を軽減するための補助を市町村と協調して行っているところでございます。
 また、国の交付金制度とは別に、本県独自の施策として、特に生活排水対策等を必要とする地域を特定地域として指定し、地域内での単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換について補助をしているところでございます。
 伊勢湾、三河湾の水質浄化のためには、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換が不可欠でありますので、国に対して転換を促進するための補助制度の一層の充実を要請するとともに、今後も市町村の実情や状況を踏まえた支援を行うことにより、合併処理浄化槽の整備促進に努めてまいります。
 次に、市町村設置型事業についてお答えいたします。
 現在、県内の市町村で市町村設置型事業を導入しているところはありませんが、今年度、美浜町が環境省の支援を受けて調査検討を進めているところです。
 市町村設置型事業は、個人設置型に比べると、市町村の財政負担は一時的に大きくなるものの、国の補助額が多く、起債についても交付税措置があり、全体として手厚い支援がなされていることから、市町村にとって合併処理浄化槽の整備促進のために有効な手段と考えております。
 このため、本県は、これまでも関係団体や市町村と合同で先進地調査等を行ってきており、今後とも市町村を対象に具体的な制度の紹介を行い、市町村設置型事業の普及促進に努めてまいります。
 最後に、浄化槽の維持管理を徹底するための取り組みについてお答えいたします。
 浄化槽の維持管理の徹底については、浄化槽管理者と直接接する指定検査機関や業界団体と連携、協力していくことが効果的であることから、平成二十五年十月に、これらの団体で構成する愛知県浄化槽維持管理向上連絡会議を立ち上げて、定期的に情報交換を行ってまいりました。
 また、毎年十月の浄化槽強調月間に、県内各地で街頭啓発キャンペーンを合同で実施しているほか、浄化槽の維持管理に必要な事項を記載した浄化槽管理手帳を作成し、指定検査機関を通して浄化槽管理者に配布するなど、連携して普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 さらに、今年度からは、浄化槽管理者に対し、設置に係る補助金の申請前にあらかじめ法定検査の申し込みをさせることにより、法定検査の確実な実施を促しているところです。
 今後とも関係団体と協力しながら、効果的な手法の検討を行い、より一層の維持管理の徹底に努めてまいります。