◯八十三番(いなもと和仁君) おはようございます。今日は久しぶりに夜の街にもにぎわいが戻るのではないかと思いますが、まだまだ安心して飲食できる状況ではありません。甘党である私は、夜のネオンの誘いにも負けることなく、毎日届くお決まりの営業LINEも既読スルーをし、全集中で今日の代表質問に備えてまいりました。
それでは、自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、順次質問をしてまいります。
まず、質問に入ります前に、新型コロナウイルス感染症により貴い命を奪われた方々、御遺族の皆様、治療を続けていらっしゃる皆様へ、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、医療従事者の皆様はじめエッセンシャルワーカーの皆様には、心から感謝を申し上げます。
さて、本日六月二十一日、新型コロナウイルス感染症対策として、緊急事態措置からまん延防止等重点措置への移行がされました。
ワクチン接種の効果が現れるまでの期間で、感染の拡大をどこまで抑え込むことができるのか。まずは県民の命と暮らしを守り支えることが重要であり、まさにここが正念場であると考えております。
一方で、新型コロナウイルス感染症を契機として、リモートワークに見られるように、私たちを取り巻く社会も大きく変容しております。感染拡大を食い止め、疲弊した経済を立て直すことは喫緊の課題でありますが、その先を見据えた新たな絵姿を思い描き、愛知の成長につなげられるような施策を展開することも重要であります。
本日は、そのような、愛知の未来に希望を持つことができる答弁を期待し、県政の諸問題について、順次質問をさせていただきます。
質問の第一は、行財政運営についてであります。
初めに、県税収入の見通しについてお尋ねいたします。
我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、個人消費が落ち込み、今年一月から三月期のGDPが三四半期ぶりのマイナス成長になるなど、依然として厳しい状況にあります。
一方、本県の県税収入に大きな影響を及ぼす企業収益の状況でありますが、先に発表のあった上場企業の本年三月期決算の内容を見ますと、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い経済活動が縮小する中、コストの抑制や合理化努力などにより、下半期において製造業を中心に急回復し、全体では連結経常利益が二年ぶりに増益に転じたとのことであります。
また、来年三月期の業績予想においても、ワクチンの普及度合いなどで左右されるため、非製造業を中心に不透明感が残るとも言われておりますが、全体では増益が見込まれているところであります。
そこでお伺いいたします。
このような景気動向などを踏まえ、本年度の県税収入についてどのような見通しをされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、今後の財政運営についてお伺いします。
令和三年度当初予算では、新型コロナウイルス感染症の影響による県税や地方譲与税の大幅な減収等により生じた収支不足の解消に向け、当初予算段階から通常の充当率を超えて県債を増発したほか、千四百七十六億円という多額の基金の取崩しを計上せざるを得ず、依然として基金の取崩しに依存した大変厳しい財政状況が続いております。
こうした中、当面の最重要課題は、やはり新型コロナウイルス感染症対策であります。
県では、これまでに総額八千億円を超える新型コロナウイルス感染症対策予算を編成し、迅速な対応に尽力されておりますが、ワクチン接種が多くの県民に行き渡り、日常を取り戻すまでの間は、引き続き県民生活や経済活動をしっかりと支えていかなければなりません。そのためには、医療提供体制の確保、ワクチン接種の推進、営業時間短縮要請や外出自粛要請等により影響を受けている事業者に対する支援など、様々な施策の実施に必要な財源をしっかりと確保していくことが重要であります。
一方、中長期的な県財政を取り巻く環境を考えますと、二〇二二年には団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となり始めることから、医療、介護の社会保障関係費のさらなる増加は避けられず、本県財政に大きな影響を及ぼすのではないかと危惧いたしております。
このため、当面は、新型コロナウイルス感染症対策に最優先で対応しつつも、来年度以降を見据えて、本県の将来の発展に資する取組を積極的に進め、健全で持続可能な財政基盤をしっかりと確立していくことが必要と考えます。
そこでお伺いいたします。
今後の財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、安全・安心な暮らしの実現についてであります。
まず、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染症は、昨年一月十五日に日本で初めて感染者が確認されて以降、全国各地で感染の拡大が続いております。
本県におきましても、昨年一月二十六日に県内最初の感染者が確認されて以降、新規陽性者数は、いわゆる第一波で四百八十一人、第二波で四千七十人、そして、昨年十月から今年三月までの第三波で二万一千四百九十七人となりました。この第三波は、国の緊急事態措置や本県独自の厳重警戒措置の効果もあり、二月下旬以降、新規陽性者数の七日間平均が五十人未満となり、グリーンゾーンとなるなど、一旦、感染の状況は落ち着きましたが、三月下旬から徐々に増加し、三月末に第四波へと突入しました。
第四波では、感染力が強く、重症化しやすいとされる変異株が全国的に大変速いスピードで広まり、本県においても、三月二十二日に、変異株による感染が初めて確認されて以降、従来株から急速に置き換わり、四月二十七日以降に実施した検査では、七割以上が変異株陽性との結果が報告されております。
この影響もあり、五月十二日には、一日の新規陽性者数が過去最多の六百七十八人を記録し、五月二十三日には、入院患者数が千人を超えるなど、大変厳しい状況となりました。
医療従事者の皆様には、県民の生命と健康を守るため、昼夜を問わず献身的に対応していただき、医療崩壊を起こすことなく、適切な医療の提供につなげていただいたことに、改めてお礼を申し上げます。
こうした中、本県では、四月二十日からまん延防止等重点措置を、五月十二日から緊急事態措置を講じて、県民の皆様に多大な御協力を得ながら、オール愛知で感染防止対策に取り組んできたところであります。この結果、五月下旬から新規陽性者数は減少傾向となり、最近の新規陽性者数は百人前後で推移するなど、一時期の厳しい状況は脱することができました。
しかしながら、入院患者数はいまだ五百人台であり、新型コロナウイルス感染症の終息時期は見通せないことに加え、新たな種類の変異株の流行も懸念されていることから、流行に備え、検査体制を強化するなど、今後も気を緩めることなく対応することが重要と考えます。
そこでお伺いいたします。
県民の生命と健康を守るためには、引き続き医療提供体制の強化が重要と考えられますが、現在の県の取組と今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の切り札として、県民の皆様から期待されているワクチン接種については、国から、七月末までに高齢者向け接種を完了するとの目標が示され、各市町村で本格的に接種が進められているところであります。
度重なる緊急事態宣言の中で先の見えない状況が続いていますが、感染リスクの不安を抱えながら日々の生活を送る県民の皆様に対し、迅速にワクチン接種の機会を提供し、かつての日常をできるだけ早く取り戻していただくことが、何よりも重要であると考えます。
少しでも早くワクチン接種を受けたい。こうした願いに応え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑え込んでいくためには、県全体でワクチン接種を加速し、より多くの集団免疫を獲得していかなければなりません。
こうした中、愛知県が、全国に先駆けて、五月二十四日から県営名古屋空港ターミナルビルと藤田医科大学の二か所で、新型コロナワクチンの大規模な集団接種会場を開設し、また、それに続き、七月から新たに県内五か所に大規模接種会場を開設することとしたことは、県全体のワクチン接種を推進する上で、非常に意義があることと考えます。
先行する二会場は、合わせて最大一日三千人という非常に大きな規模で、また、複数の自治体が参加するという、前例のない取組ではありますが、開設以来、大きな問題もなく、順調にワクチン接種が進んでいるとお聞きしております。日夜、会場で接種業務に当たっておられる医師、歯科医師、薬剤師、看護師、市町の職員はじめ、運営スタッフの皆様の親切な対応に心から感謝を申し上げます。
一方、この大規模集団接種でスピードアップを図っているとはいえ、ワクチン接種のゴールまでは、まだまだ長い道のりであります。
五月末には、ワクチン接種の対象が十六歳以上から十二歳以上に広がり、対象者数も三十万人増え、約六百七十万人に拡大されました。現在進む高齢者接種が完了した後も、約四百五十万人の県民の皆様への住民接種が控えております。
従来の市町村における集団接種や各医療機関での個別接種に加え、先般、国からは、新たな職場や大学での接種の実施についても示されましたが、ワクチン接種を今以上に加速させていくためには、県と市町村が持てる選択肢を最大限活用し、さらなる接種体制の強化、充実を図っていくことが不可欠だと考えます。
そこでお伺いいたします。
現在、本県のワクチン接種の状況はどのようになっているのか、また、ワクチン接種の加速に向け、大規模集団接種の新たな開設は非常に有効な選択肢の一つであると考えますが、県として、今後どのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
次に、最近、新たな社会問題として注目されておりますヤングケアラーへの支援についてお伺いします。
ヤングケアラーについては、法的な定義はありませんが、一般社団法人日本ケアラー連盟においては、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている十八歳未満の子供のことで、ケアが必要な人は、主に障害や病気のある親や高齢の祖父母ですが、きょうだいや他の親族の場合もありますとされております。
このヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や様々な負担を背負っており、友人と遊ぶなど自分の時間が持てない、宿題などの勉強をする時間がないなど、本人の健やかな成長や学業の面で多大な影響が出ていると指摘されているところであります。
昨年度、厚生労働省は、ヤングケアラーの実態を把握するため、全国の中学二年生、高校二年生を対象とした実態調査を初めて実施し、四月十二日に調査結果を公表しました。この報告書によりますと、世話をしている家族がいると回答した学生の割合は、中学生で五・七%、高校生で四・一%となっており、中学生の十七人に一人、高校生の二十四人に一人がヤングケアラーという現実が浮き彫りになるなど、驚きの数字が公表されたところであります。
こうした実態を踏まえ、厚生労働、文部科学両省の副大臣を共同議長とするヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームは、今後の支援策をまとめた報告書を五月十七日に発表いたしました。
この報告書では、ヤングケアラーの早期発見・把握や支援策の推進、社会的認知度の向上の三本柱から成る、今後国が取り組むべき施策を提言しております。これを受け、国は経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針に今回の提言を反映させ、即効性のある支援策を具体化していくことを目指しているところであります。
しかしながら、ヤングケアラーは、社会的認知度が低く、国の調査においても自分がヤングケアラーであると自覚している子供は約二%にとどまり、本人からの声を把握することが難しく、支援が行き届きにくいという課題もあります。こうしたことから、支援に当たっては、家庭が抱える課題、背景を明らかにした上で、関係機関が連携し、家庭全体への支援につなげていくことが大切であります。
そこでお伺いします。
本県として、今後、ヤングケアラー支援にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、重症心身障害児者施設の整備についてお尋ねいたします。
本県では、障害のある人が自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、また、障害のある子供の健やかな育成を図るため、今年三月にあいち障害者福祉プラン二〇二一─二〇二六を策定しております。
本プランでは、中長期的な横断的、重点的な取組の方向性を示し、地域において適切なサービスを提供できる体制整備に計画的に取り組むこととしており、本プランに基づき、障害のある人が地域で安心して自分らしく暮らし続けることができるよう、障害者施策の充実、強化が望まれます。
その中でも、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している重症心身障害児者は、本県では、二〇一一年には約二千七百人、二〇二一年には約三千七百人と、この十年間で約三五%増加をしております。
重症心身障害児の方は、人工呼吸器等の医療機器を使用していることも多く、その場合、たんの吸引や経管栄養などの看護、介護は主に御家族が行っていますが、食事や入浴、投薬などの身の回りの世話も加わり、対応を誤ると命に関わるケースもあることから、御家族には大変な緊張や御苦労があると伺っております。
また、障害の重度化の進行、介護者の病気や高齢化、親亡き後の不安など、様々な問題により、御家庭での看護や介護に限界を感じているという方もいらっしゃいます。
このような方々を支える施設として、重症心身障害児者施設があります。
これは、医療機関と福祉施設の両方の機能を併せ持つ入所施設で、医療機関としては、医師や看護師などを配置し、疾患や障害を軽減するための治療を行うとともに、二十四時間体制での看護の提供やリハビリなどを行っております。
また、福祉施設としては、保育士や児童指導員などを配置し、食事や排泄などの日常生活の支援などを行っております。さらには、御家庭での看護、介護が一時的にできなくなった場合や、介護者の休息、いわゆるレスパイトのために利用できる短期入所なども行っています。
このように、重症心身障害児者やその御家族にとっては最後のよりどころであり、大変重要な施設であります。
少子化の中にあっても、医療技術の発展により重症心身障害児者の数は増えていることから、このような医療や生活の支援が受けられる施設を身近な地域において今後も整備することは、重要な課題であると考えます。
そこでお伺いいたします。
本県では、重症心身障害児者施設の整備について、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、特殊詐欺などの県民生活を脅かす犯罪の現状と未然防止対策についてお伺いいたします。
まず、本県の犯罪情勢につきましては、県民の皆様の御協力もあり、二〇二〇年中の刑法犯認知件数が戦後最少を更新、本年についても減少傾向が続いております。
一方、二〇二〇年七月に愛知県において実施された県政世論調査の地域の治安の変化に関する調査項目では、以前と変わらないと答えた人の割合が最も高く、五七・二%を占めているなど、刑法犯認知件数の減少が県民の安心感につながっていない状況にあります。
特に、本年は、昨年と比較して、特殊詐欺被害の認知件数が増加しており、被害に遭われた多くの方々が高齢者であるとのことであります。特殊詐欺は犯行手口も様々であり、社会の変化に応じて巧妙化しております。
昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響により、巣籠もり生活の時間が増えている中、自宅への電話から始まる特殊詐欺のような犯罪の増加は、県民の皆様にとって大きな不安となります。さらに、最近では、SNSを通じて、若者世代が特殊詐欺の犯行に加担していることもあると聞いており、大変憂慮すべき状況にあります。
また、自動車盗については、近年、減少傾向が続いてきましたが、本年は、昨年と比較して大幅に増加しており、新聞等の報道においても、特定の車種が狙われていると報じられているところであります。自動車盗被害の増加は、県民の不安を一層大きくすると思われます。
侵入盗については、本県は、二〇一八年に十一年続いていた侵入盗の認知件数全国ワーストワンを返上しているものの、未だに全国ワースト上位にあります。侵入盗は、一歩間違えば、強盗や殺人などの重大事件に発展する可能性もありますので、その未然防止対策は極めて重要であります。
刑法犯認知件数が減少傾向にあっても、引き続き県民の安全・安心を確保するためには、こうした特殊詐欺、自動車盗及び侵入盗などの未然防止対策を一層推進する必要があります。
そこでお伺いします。
県民に大きな不安を与える特殊詐欺等の犯罪の現状はどうなっているのか、また、それら犯罪の未然防止対策をどのように進めていかれるのか、警察本部長にお伺いをいたします。
質問の第三は、次代を担う人づくりについてであります。
あいちの教育ビジョン二〇二五の推進についてお尋ねをいたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、学校の教育活動が大きな影響を受けていることに加え、デジタル化の加速、脱炭素社会への取組、少子化の進行など、社会は大きく変化しております。学校教育もこうした変化に対応し、思い切った改革を進めていかなければなりません。
こうした中、本年二月に策定されたあいちの教育ビジョン二〇二五は、自らを高めることと社会の担い手となることを基本に、ふるさと愛知に根ざしながら、世界的視野で深く学び、豊かな人間性と知・徳・体にわたる生きる力を育むことを目指すものであり、これからの愛知の教育の方向性を示す羅針盤となるものであります。
計画では、幼児教育から義務教育を経て高等学校、そして大学まで各段階を通じて、切れ目のない取組を推進することとされており、県立高校に関しましては、多様な学習ニーズに対応できる柔軟な教育システムを持った全日制単位制高校の設置や、理数科等の新たな設置、普通科高校の活性化、新しい入試制度の導入などに取り組むことを盛り込んでおります。
愛知の将来を支える子供たちが自らを高めて、予測困難な時代を生き抜く力を身につけ、社会の担い手として成長していく上で、高等学校の役割はますます重要になっております。公立高校と私立高校が切磋琢磨し、高校生が夢と希望の実現に向けて、それぞれの個性や可能性を伸ばし、成長することができるような学びの充実が求められております。
しかしながら、今春の高校入試の結果に目を転じると、県立高校の欠員が過去最高の二千六百人を超える事態となりました。これまでの愛知県の高校入試では考えられなかった状況であります。県立高校の役割について改めてしっかりと考え、県立高校の魅力化を早急に進めることが求められます。
そこでお伺いします。
県立高校の欠員が過去最高となった要因をどのように考えているのか、また、あいちの教育ビジョン二〇二五の推進に当たって、県立高校の魅力化を具体的にどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、活力と魅力あふれる愛知の実現についてであります。
まず、観光消費喚起事業についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染症については、昨年四月に国が初めて緊急事態宣言を発出してから、既に一年以上が経過しました。この間、国を挙げて感染症対策に取り組んでまいりましたが、依然として、感染拡大が繰り返される厳しい状況が続いており、本県においても、社会経済への影響が長期化する中で、観光関連産業は大きな打撃を受けております。
観光庁が発表する宿泊旅行統計調査によれば、愛知県内の旅館、ホテル等の延べ宿泊者数は、感染症の影響が出る前の二〇一九年に約千九百三十万人であったものが、二〇二〇年には約千七十万人となり、約八百六十万人の減、マイナス約四五%と大きく落ち込んでおります。
二〇二一年一月以降も、五月末に発表された二〇二一年三月の速報値が、二〇一九年同月比でマイナス約四〇%となり、期待していた五月の大型連休も第四波による緊急事態宣言の下で迎えるなど、厳しい状況が続いております。
また、一時は旅行需要の回復に効果を発揮した国のGoToトラベル事業も、人の移動が感染拡大につながることが懸念され、本県の観光消費喚起事業とともに、昨年末から停止を余儀なくされており、観光関連事業者を取り巻く経営環境は一層深刻なものとなっております。
こうした中、国においては、当面、全国規模で旅行を促進するGoToトラベル事業の再開が困難であるとして、本年三月末に、都道府県が独自に行う県内旅行の割引事業に対して国が補助金を交付する地域観光事業支援を創設しました。
国による全国一律の施策ではなく、地域ごとに異なる感染状況等を踏まえた、各都道府県による独自の取組が期待されるものと思われます。
本県においても、昨年度から県内旅行の需要拡大を図る観光消費喚起事業を推進しておりますが、新たな国の補助金も活用し、引き続き観光関連事業者を支援していく必要があると考えます。
そこでお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している現下の状況を踏まえ、今後、観光消費喚起事業にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、林業の振興についてお伺いいたします。
アメリカや中国の急激な木材需要の拡大や新型コロナウイルス感染症の影響による物流の混乱等が要因で、現在、ウッドショックとも呼ばれる外国産の住宅用木材の供給不足や価格高騰が起きており、また、国産材についても、外国産木材の不足感から、その代替としての需要が増え、価格が上昇しているとも耳にいたしました。
これらの報道に接して、改めて国内の森林、林業を取り巻く現状に目を向けてみました。
二〇二〇年度森林・林業白書によりますと、我が国の人工林は、終戦直後や高度経済成長期に伐採跡地に造林されたものが多く、その半数が本格的な利用期を迎えており、木材自給率は、二〇〇二年には過去最低の一八・八%であったものが、上昇傾向で推移し、二〇一九年は三七・八%となっております。
今回のウッドショックの報道に接して、木材の自給率を高めていくことが重要だと改めて感じました。
また、同じく白書によりますと、SDGsの目標十五に持続可能な森林の経営が掲げられているほか、森林の多面的機能がSDGsの様々な目標の達成に貢献しているとされております。
さらに、昨年十月に菅総理大臣が表明した二〇五〇年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというカーボンニュートラル宣言を受けて、昨年十二月には二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が策定されております。
この戦略の中で、森林、木材による二酸化炭素の吸収、排出削減効果を最大限発揮させるため、人工林の、切って、使って、植えるという循環利用を確立し、木材利用を拡大するとともに、森林の若返りを進めていくことが必要とされております。
本県の森林につきましては、先日公表された林業の動き二〇二一によりますと、杉、ヒノキなどの人工林の割合が全国第三位の六三・六%となっており、そのうち、主伐の対象となる四十六年生以上が約八割を超え、全国と比べて資源の成熟が進んでおります。
この本県の充実した森林資源を生かし、林業の振興を図ることは、SDGsの達成やカーボンニュートラルの実現などに貢献し、さらに、所得や雇用の確保等を通じて、山村地域の活性化にも大きく寄与するものと考えます。
そこでお伺いします。
本県の充実した森林資源を生かして、林業の振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第五は、新しい時代に飛躍する愛知づくりについてであります。
まず、モノづくり愛知を支える広域幹線道路ネットワーク整備についてお尋ねいたします。
昨年十一月に策定されたあいちビジョン二〇三〇では、技術革新により百年に一度と言われる大変革期を迎えている自動車産業をはじめ、あらゆる産業におけるイノベーションを巻き起こす力強い産業づくりを目標に掲げております。
私の住む名古屋市中川区は名古屋港に近く、国道三百二号では名古屋港からのコンテナの輸送車両の多さを目の当たりにしており、本県のモノづくり産業が活発であることを肌で感じております。
一方で、国道二十三号が交差する梅之郷交差点での渋滞状況を見ると、円滑な物流の確保が課題であると、日頃から強く認識しているところであります。
この五月一日に、念願の名古屋環状二号線が、事業着手から半世紀を経て全線開通し、地元では周辺道路の車の流れがスムーズになったとの声も聞かれ、物流の効率化や沿線の地域開発などのストック効果が中京圏にさらなる発展をもたらすことを期待しております。
こうした中、今年三月には国より今後二十年から三十年を見据えた新広域道路交通計画中部ブロック版が公表され、基本戦略の一つに空港、港湾などの交通拠点へのアクセス強化が示されたところであります。
名古屋環状二号線の開通により名古屋港への尾張北部方面からのアクセスは改善しましたが、各方面からのさらなるアクセス向上や、同様に他の港湾などの交通拠点への連絡強化が必要であります。
貨物量の増大に対応する埠頭用地の拡充をはじめとした港湾や空港などの機能強化と連携しながら、サプライチェーンの強化に向け、平常時、災害時を問わない円滑で安定的な物流を確保し、当地域が世界から選ばれる地域に発展していかなければなりません。
そこでお伺いをいたします。
モノづくり愛知を支える広域幹線道路ネットワーク整備について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、愛知県新体育館についてお伺いいたします。
愛知県新体育館については、本年二月にアイチ・スマート・アリーナ・グループが整備・運営事業者に選定され、さきの五月臨時議会においては、同グループが設立した特別目的会社である株式会社愛知国際アリーナと、PFI法に基づく特定事業契約を締結するための議案が可決されたところであります。
新体育館の整備に当たっては、県が二〇一九年六月に発表した愛知県新体育館基本計画において、大相撲名古屋場所にふさわしい風格を持ち、二〇二六年のアジア競技大会をはじめとした国際的なスポーツ大会や、国内外の人気アーティストによる全国レベルのコンサートなどの拠点となる施設とすることがコンセプトとされております。
事業者の提案は、これらのコンセプトを踏まえた上で、グローバルレベルの空間やサービスを備え、世界最先端のICT技術を導入したアリーナとする内容となっており、大変夢のあるプロジェクトであると、私も大いに期待をしております。
一方で、新体育館は、現愛知県体育館の機能を発展的に引き継ぐ公の施設となるため、国際的なスポーツ大会やイベントを開催するだけでなく、県民はじめ、誰もが利用しやすいように配慮することも重要であります。現体育館は、アマチュアスポーツの大会から企業や学校の体育祭、体操やダンスなどの教室まで幅広く利用されており、新体育館においても、こうした利用が確保される仕組みづくりが必要であると考えます。
さらに、新体育館の計画地となる名城公園北園は、四季折々の花や豊かな緑があり、ランニングやレクリエーションなどの様々な面で県民の皆様に親しまれております。新体育館が建設されることで、さらに多くの人が訪れ、これまで以上に快適に利用できる憩いの場となることを願っています。
愛知県体育館は、五十年以上の歴史のある施設であります。新体育館は、その歴史を継承しながら、国内外から注目されるスポーツ大会やイベントが開催されるとともに、県民の皆様にも大いに利用していただき、本県の新たな公共財産として広く喜んでいただけるような施設となることが重要であると考えます。
そこでお伺いをいたします。
二〇二五年夏のオープンに向け、本格的に新体育館の整備、運営に向けて動き出すこととなりますが、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたる様々な課題について質問をしてまいりました。
明快な御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
7:◯知事(大村秀章君) 自由民主党愛知県議員団のいなもと和仁総務会長の質問にお答えをいたします。
初めに、県税収入の見通しについてのお尋ねであります。
本年度の県税収入は、新型コロナウイルス感染症の税収への影響が本格的に現れ、法人二税をはじめ、地方消費税や個人県民税など幅広い税目で減収を見込み、昨年度当初予算額と比べ、県税と地方譲与税の合計で千六百億円を超える大幅な減収を見込んで予算計上したところであります。
こうした中、法人二税に影響を及ぼします上場企業の本年三月期決算の連結経常利益の状況を見ますと、当初予算編成時に参考とした第二・四半期時点では減益の予想でありましたが、最終的には全産業ベースで、前期比八%の増となっております。
しかしながら、運輸や小売など非製造業の業種において赤字となる企業が多く、業種、企業の間で業績が二極化しているとも言われております。
また、感染拡大の状況によっては、地方消費税をはじめとする消費関連税目への影響も懸念されるところであります。
まだ年度が始まったばかりでもあり、現時点で県税収入を見通すことは困難でありますので、今後の企業収益や新型コロナウイルス感染症による影響に十分注意を払いながら、慎重に税収を見極めてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてであります。
本県がこれまでに編成した総額八千億円を超える新型コロナウイルス感染症対策予算の財源の九割以上は国庫補助金でありまして、新型コロナウイルス感染症対策を実施する上で、国庫補助金の確保は大変重要となっております。
先日六月十日には、全国知事会議において、私から、大規模施設等に対する協力金の財政措置の拡充や事業者支援交付金の早期配分について要請をいたしました。今後も、必要な対策をちゅうちょなく実行できるよう、様々な機会を捉えて、国へ働きかけ、国庫補助金の必要額を確保できるよう努めてまいります。
今後の財政運営を展望しますと、歳入では大きく落ち込んだ県税収入の速やかな回復を期待するものの、景気は新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にあり、現時点では、今後の税収動向は不透明であります。
一方、歳出では、医療、介護などの扶助費の増加は避けられないため、極めて厳しい財政運営が続くものと考えております。
先日閣議決定されたいわゆる骨太の方針では、地方の一般財源総額について、当面三年間は現行水準を下回らないとする方針が示されましたが、団塊の世代が七十五歳以上に入り始める二〇二二年度以降は、社会保障関係費の増加に拍車がかかることから、地方一般財源総額の一層の充実が不可欠であります。今後も必要な地方財源が確保されるよう、国へ働きかけてまいります。
来年度の予算編成に向けましては、まずは、年度内の財源確保に全力で取り組み、本年度当初予算で取り崩すこととした基金残高の回復に努めるとともに、あいち行革プラン二〇二〇に沿った、歳入歳出両面にわたる行財政改革の取組を着実に進めてまいります。
さらには、アフターコロナを見据えた幅広い施策にもしっかりと取り組むことで、産業の活性化、税収の回復、確保につなげ、健全で持続可能な財政基盤の確立に取り組んでまいります。
次は、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制についてのお尋ねであります。
新型コロナウイルス感染症の第四波は、感染力が強い変異株の広がりも含め、三月後半から拡大を続け、五月七日以降、新規陽性者数は急増し、五月十二日には過去最多の六百七十八人を記録いたしました。
また、入院患者数も五月二十四日に過去最多の千四十四人を記録し、その後、千人を超える水準で推移するなど、かつてない大変厳しい状況でありました。
六月に入り、新規陽性者数は少し落ち着き、六月十六日にようやく七日間平均の入院患者数はステージ三になりましたが、医療現場は依然として厳しい状況が続いているものと認識しております。
本県では、第四波に備え、医療機関に対し、これまで確保した入院病床千二百十五床プラスアルファの維持をお願いするとともに、五月十七日には新たに三百床、うち重症病床二十床を確保し、全体で千五百十五床プラスアルファ、うち重症病床百四十六床となりました。これにより、第四波も乗り越えることができましたが、引き続き病床確保に努めてまいります。
また、自宅療養者への対応としては、急な体調悪化時に電話診療や往診、訪問看護などの必要な医療を速やかに受けることができるよう、地域の医療機関や訪問看護ステーションと連携する取組を新たに実施してまいります。
検査体制につきましては、PCR検査、抗原検査合わせて、一日約四万二千件実施できる能力を確保しておりますが、加えて、感染力が強い変異株への対策として、県衛生研究所にデルタ株等の特定に用いる遺伝子解析装置を整備し、県独自にゲノム解析ができるよう監視体制の強化を図ってまいります。
今後もこうした様々な取組を強力に推し進め、万全の医療提供体制を確保し、県民の皆様の命と健康を全力で守ってまいります。
続いて、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種についてであります。
医療従事者等へのワクチン接種については、ほぼ全ての方が二回目の接種を終える見込みとなっており、高齢者への優先接種について、各市町村で本格的に接種が行われているところであります。愛知県内医療従事者等で二十七万人を超える方々が大体めどが立ってきたということでございます。
そして、ワクチン接種のスピードアップが求められる中、愛知県が全国に先駆け、五月二十四日に開設した大規模集団接種会場である名古屋空港ターミナルビルと藤田医科大学では、昨日までに計画を上回る約七万人の方にワクチン接種を行ってまいりました。
こうした取組により、一回目の接種を終えた本県の高齢者の接種率は、六月十九日土曜日の時点で五五・五〇%であり、人口上位十都道府県の中でトップとなっております。もう既に百万人を超える高齢者の方に接種が終わっております。
また、県では、五月二十日、大規模集団接種会場の開設に当たり、弾力的なワクチン接種に関する具体的な運用方針を定め、感染リスクが高い看護学生や潜在看護師、警察職員等にも積極的にワクチン接種を進めているところであります。
さらに、七月三日から愛知医科大学メディカルセンター、藤田医科大学岡崎医療センター及び安城更生病院の三か所、また、七月五日からバンテリンドームナゴヤ、七月十日から豊橋中央会場を加え、計五か所を開設することとし、全体七か所で、一日最大約七千五百人規模の接種を進めてまいります。
この結果、九月末までに、合計約三十一万人の県民の皆様に接種できる見込みであり、県内の接種対象者約六百七十万人の四・六%をカバーすることとなります。
また、高齢福祉施設及び障害者支援施設の利用者、従事者並びに在宅の高齢者及び障害者へのワクチン接種を加速するため、巡回接種を行う医療機関に本県独自の支援金を交付してまいります。
一人でも多くの県民の皆様に、一日でも早くワクチン接種を受けていただけるよう、今後も県医師会等関係団体や市町村等と緊密に連携を図り、ワクチン接種をより一層加速してまいります。
次に、ヤングケアラーへの支援についてお尋ねをいただきました。
今年度公表された厚生労働省の調査研究によりますと、ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っていることにより、子供自身がやりたいことができないなど、自身の権利が守られていないと思われる子供と定義されております。
こうした子供たちにいち早く気づき、社会全体でその家庭を支援していくことは、子供の健やかな成長にとって非常に重要であると考えております。
このヤングケアラーについては、家庭内のデリケートな問題を周りに知られたくない、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくい特性があります。
そこで、本県としましては、ヤングケアラーが行っているケアの内容や時間をはじめ、日常生活での悩み、相談相手、さらには必要とする支援など、まずは県内におけるヤングケアラーの実態を把握するため、この秋にも本県独自の実態調査を実施してまいります。
具体的な調査の方法や内容につきましては、ヤングケアラー問題に詳しい学識経験者など外部アドバイザーの意見を伺いながら詳細を詰めるなど、効果的な調査が実施できるよう速やかに準備を進めてまいります。
こうした調査を通じ、ヤングケアラーの実態把握と認知度向上を図りながら、学校や市町村など関係機関との連携により、ヤングケアラーとその家族の適切な支援にしっかりと取り組んでまいります。
続いて、重症心身障害児者施設の整備についてであります。
障害のある方が身近な地域において必要な障害福祉サービスの利用ができ、安心して生活を送っていただけるようにすることが私の強い思いであります。
そこで、本県では、重症心身障害児者が身近な地域において必要な医療や療育が受けられるよう、二〇一四年度に本県独自の障害者福祉減税基金を設置し、民間法人による施設整備を順次進めているところであり、二〇一六年に一宮市、二〇一七年に豊川市において整備を行ってまいりました。
さらに、重症心身障害児者施設がない知多地域にお住まいの方々は、専門的な医療や療育を受けるために、遠くの施設を利用せざるを得ないことから、東海市内の県有地に民間法人による新たな施設整備を進めているところであります。
東海市の御協力もあり、この六月に東海市と民有地地権者と県との土地交換契約を締結いたしまして、整備に必要な土地を確保したところでありまして、続く七月には社会福祉法人の設立の認可、そして、法人に対する県有地の貸付契約の締結を行った上で、本年十月の着工、そして、来年度中の開所、オープンを予定いたしております。
これにより、県内の重症心身障害児者施設は、二〇一三年四月に四施設三百八十二床でありましたものが、二〇二二年度には九施設七百五十八床と、この十年間で倍増となり、設置地域も広がってまいります。
この施設が整備されますと、知多地域を中心に、名古屋市南部や西三河西部の方などにも入所いただけるだけでなく、在宅の方が短期入所やリハビリ訓練を利用できるようになるなど、地域における医療と療育の拠点施設となります。
引き続き、地元東海市と連携をし、着実に整備を推進するとともに、今後とも障害のある方が身近な地域で支援を受けられ、安心して生活していただける環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。
次は、観光消費喚起事業についてのお尋ねであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい経営状況にある観光関連事業者を支援するため、新たに創設された国の補助事業である地域観光事業支援も活用しながら、引き続き県内旅行の需要拡大を図る取組を推進していく必要があると考えております。
そのため、今議会には、感染状況に応じて、迅速、的確に対応していくため、新たな県内旅行促進のキャンペーンに係る予算を提案しております。
具体的には、九月から十二月まで、県民の皆様を対象に、宿泊を伴う県内旅行商品や、県内の宿泊施設の利用に対して、代金の二分の一、一人一回五千円の割引を行ってまいります。
あわせて、割引を利用した旅行者の方々には、地域の土産物店や飲食店等で使用できる一人一回二千円の地域限定クーポンを付与し、きめ細かく幅広く消費を喚起させていくことにより、裾野が広い観光関連産業に効果を波及させてまいります。
また、既存の予算を活用し、県内の旅行業者が造成する日帰り旅行や社員旅行など、団体旅行向けの割引メニュー、代金の二分の一、一人一回五千円も用意し、様々な旅行需要に応えてまいります。
引き続き、感染状況を見極めながら、こうした取組を機動的に実施し、旅行需要を下支えしていくとともに、観光の再生に向けて、一日も早く感染症を克服し、安心して旅行を楽しめる環境を取り戻すよう、全力を尽くしてまいります。
続いて、林業の振興についてお答えをいたします。
本県では、二〇二〇年十二月に策定した食と緑の基本計画二〇二五において、二〇二五年における県産木材生産量を十八万立方メートルに伸ばすことを目標に掲げ、今年度新たに様々な施策に取り組んでいくこととしております。
まず、本県では全国に先駆けて航空レーザ計測による詳細な地形情報や森林資源情報の取得を進めており、こうした情報を市町村や林業事業体などの関係者で共有し、木材生産事業地の選定等に活用できるようにする森林情報のクラウド化に取り組んでまいります。
また、充実した森林資源の積極的な活用に向け、川上である木材生産現場の生産情報と川中である製材工場の需要情報をリアルタイムでマッチングする木材需給情報システムの導入を進めてまいります。
さらに、成長の早い杉、ヒノキのエリートツリーやセンダンなど早生樹の苗木の安定供給体制を整備し、循環型林業を推進するとともに、就業支援や体系的な研修等の充実を図り、林業技術者の確保、育成を進めてまいります。
現在、木材・住宅業界で起こっているウッドショックと呼ばれる外国産木材の高騰に起因する国産材への転換需要に応えていくためにも、県産木材を安定的に供給していくことは大変重要であります。
こうしたICT等の先端技術を活用した新たな取組を迅速かつ積極的に推進し、SDGsの達成やカーボンニュートラルの実現にも貢献する本県林業の振興を図ってまいります。
次は、モノづくり愛知を支える広域幹線道路ネットワーク整備についてのお尋ねであります。
本県のモノづくり産業が国際競争に打ち勝つためには、名古屋環状二号線の開通後も引き続き、中部国際空港や名古屋港などの物流拠点と各地に広がる生産拠点を結ぶ広域幹線道路ネットワークを一層強化し、生産性向上を図ることが重要であります。
そうした中で、中部国際空港と名古屋港臨海部の生産拠点及び新東名高速道路を結ぶ西知多道路は、早期にネットワークをつなげることが重要であるため、南部のバイパス区間に有料道路事業を導入し、整備を加速するとともに、国に対し、未事業化区間の早期事業化を働きかけてまいります。
また、名古屋港から各方面へのさらなる効率的な物流交通確保に向けて、名古屋高速道路を経由し、岐阜、北陸方面へつながる名岐道路の早期事業化や、現在国において実施されている名古屋都市圏環状機能強化に係る調査について、県も連携して着実に進めてまいります。
さらに、三河港周辺においては、名豊道路の一日も早い完成と、東名高速道路へのアクセスを飛躍的に向上させる(仮称)浜松三ヶ日・豊橋道路の計画の具体化を国と連携しながら取り組んでまいります。
一方、国により、供用中路線に加え、今後新たに事業中、計画中の路線が重要物流道路に追加指定され、重点支援の対象となることから、これら空港、港湾につながる路線の指定を国に強く働きかけてまいります。
今後とも、産業首都あいちのさらなる発展を支える広域幹線道路ネットワークの整備に全力で取り組んでまいります。
私からの最後の答弁となりますが、愛知県新体育館についてお答えをいたします。
新体育館につきましては、五月三十一日に本県と特定事業契約を締結した株式会社愛知国際アリーナが今月から設計に着手しております。愛知国際アリーナには国内通信最大手のNTTドコモや前田建設工業をはじめ、世界トップのアリーナ運営事業者であるAEG(アンシュッツ・エンターテインメント・グループ)など、豊富な実績とノウハウを有する八社が参画しております。
今後こうした企業のシナジーを最大化することにより、常に最先端のICT技術を活用した観戦・鑑賞体験や、多様なニーズに対応する上質なホスピタリティーサービスなどを提供するアリーナを整備し、世界最高峰のスポーツエンターテインメントのコンテンツを呼び込んで、国内外から多くの集客につなげてまいります。
また、新体育館は、半世紀に及ぶ現愛知県体育館の歴史と伝統を引き継ぐ施設となります。いなもと議員も御指摘のように、県民の皆様のスポーツや文化活動の拠点として利用していただけるよう、サブアリーナや多目的ホール等を整備するとともに、メインアリーナについても利用料金を安く設定した一般利用日を確保してまいります。
さらに、新体育館は緑に囲まれた憩いの場である名城公園内に位置をいたします。隈研吾氏のデザインによる公園の木々と調和した樹形アリーナとするとともに、新体育館を中心としたにぎわいづくりや交流を促進することにより、名城公園の一層の魅力向上にもつなげてまいります。
愛知国際アリーナをパートナーとし、関係者と緊密に連携して、県民の皆様が誇りに思い、愛知・名古屋のシンボルとなる世界最高レベルのスマートアリーナの実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
以上、御答弁申し上げました。
8:◯警察本部長(後藤和宏君) 特殊詐欺などの県民生活を脅かす犯罪の現状と未然防止対策についての御質問にお答えをいたします。
初めに、当県における刑法犯認知件数につきましては、本年五月末現在で、一万五千三百二十七件と、昨年同期と比較して千八百三十一件減少しているところでございます。
しかしながら、特殊詐欺につきましては、三月以降増加に転じ、五月末現在で三百六十件であり、昨年同期と比較して、五十三件増加しております。
また、多発した手口といたしましては、百貨店員などをかたって、キャッシュカードをだまし取る手口のほか、息子などをかたるオレオレ詐欺も増加傾向にございます。
その他の犯罪といたしまして、自動車盗につきましては、特定の車種が狙われる傾向が続いており、五月末現在の認知件数が三百七件と、昨年同期と比較をして六十八件増加をし、千葉県と並んで全国ワースト一位となっておりますほか、侵入盗につきましても、認知件数こそ減少傾向にあるものの、被害額が約十二億二千五百八十九万円と、全国ワースト一位となっております。
こうした現状に対しまして、県警察では、まず、特殊詐欺対策といたしまして、渡すな危険!!キャッシュカード!というキャッチフレーズを活用するなどして、未然防止につながる広報啓発活動を実施しておりますほか、被害防止コールセンターを開設し、実際の手口に即した具体的な啓発を実施しております。
また、SNS上において犯行への加担を募集する書き込みに対して警告するなどの対策も併せて実施をしております。
その他、自動車盗への対策といたしましては、自動車関連事業者等と連携をいたしまして、被害が多発している車種のユーザーに対し、ハンドルロック、タイヤロック等による複数の防犯対策を取るよう啓発しておりますほか、侵入盗への対策といたしまして、自宅や店舗などにできるだけ現金などを保管しないよう啓発しているところでございます。
今後も犯罪情勢の変化に的確に対応し、県民生活を脅かす犯罪の未然防止対策を推進してまいります。
9:◯教育長(長谷川洋君) 初めに、県立高校の欠員の要因についてお答えいたします。
まず、中学生の進路ニーズが多様化し、自分のペースで学習できる広域通信制高校を選択する生徒が増加するなど、全日制高校へ進学する生徒が減少傾向にありますこと、それに加え、私立高校の授業料の実質無償化が進んだこと、また、進路を早く決定したい中学生や保護者が増加している中、公立高校の合格者発表が推薦選抜を含めて三月中旬であること、さらに、昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、体験入学の機会が限られ、充実した学習指導などの県立高校のよさが中学生に十分伝わらなかったことなど、こうしたことが相まって、県立高校の志願者数が減少し、欠員が増加しているものと考えております。
次に、県立高校の魅力化を具体的にどのように進めるかについてであります。
教育委員会では、県立高校の魅力化、特色化を図りつつ、今後のさらなる少子化に対応するため、今年四月、高校改革室を設置いたしました。今後、この高校改革室を中心に、多様な学習ニーズに対応した学科改編や商業高校のリニューアルをはじめとする職業学科の充実、長寿命化計画に基づく校舎の改修促進などに取り組んでまいります。そして、それとともに、県立高校の再編将来構想を年内に取りまとめてまいりたいと考えております。
また、入試日程の前倒しや、各高校、学科の特色を生かした特色選抜の導入など、受験生にとってよりよい制度となることを目指して、入試改革を進めてまいります。
こうしたことによりまして、中学生が学びたいと思えるような特色と魅力を備えた県立高校づくりをしっかりと進めてまいりたいと考えております。