平成30年12月定例会 12月7日


◯五十番(いなもと和仁君) それでは、通告により順次質問をいたします。
 十一月のある日、私は、中川区にある病院の救急救命センターの部長先生、緩和ケア病棟に勤務する女医さん、看護師さん、そして、在宅を専門に行っている薬剤師らとともに、多職種連携の研修会という名目の宴会を兼ね、オンライン服薬指導が可能な患者居住地域の一つである日間賀島に調査に行ってまいりました。もちろん合コンではありません。地元で水揚げされたおいしいものを食べながら、日々、医療現場の最前線で働く人たちとひれ酒を飲みながら、体も心もあったまってくるころ、熱い思いと冷静な判断で、これからの医療のあり方について話し合いをいたしました。いつものように途中で酔っぱらい、ろれつが回らなくなりましたが、酔う前に話した内容を思い出し、次の二点についてお尋ねをいたします。
 初めに、愛知県薬剤遠隔指導事業についてお尋ねをいたします。
 現在、日本は、かつてない少子・高齢化社会に突入しており、いわゆる団塊の世代が七十五歳を迎える、今から四年後の二〇二二年度以降は、社会保障関係費の急増が見込まれております。
 一方で、現行の社会保障制度の支え手である就労世代は急激に減少し、人口構成の変化による財政上の制約は厳しくなると考えられております。
 このような中で、国民皆保険等の医療・介護制度を次世代に引き継ぎ、持続可能な社会をつくるため、IoT・AI技術を利用した医療資源の効率的な活用は非常に有効であると考えます。
 今回注目したいのは、このIoT・AI技術の中のオンライン診療、オンライン服薬指導であります。
 本年六月に政府が公表した未来投資戦略二〇一八の中でも、医師や薬剤師など多職種の連携のもと、住みなれた地域、我が家において安心して在宅で医療やケアを受けられるよう、服薬指導を含めたオンライン医療全体の充実に向けて、次期以降の診療報酬改定における有効性、安全性を踏まえた評価を行い、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、いわゆる医薬品医療機器等法の改正の検討など、所要の制度的対応も含めて、ユーザー目線で現状をさらに前進させる取り組みを進めるとうたわれており、今後、オンライン診療、オンライン服薬指導の重要性、そして、患者さんからの需要はますます高まると思われます。
 このような社会情勢の中、厚生労働省は、オンライン診療の取り扱いを明確にするために、オンライン診療の適切な実施に関する指針を本年三月に公表し、オンライン診療に関する最低限遵守する事項、推奨される事項並びに考え方を示し、安全性、必要性、有効性の観点から、医師、患者さん及び関係者の方が安心できる適切なオンライン診療の普及を推進しております。
 また、本年四月の診療報酬改定では、オンライン診療料やオンライン医学管理料などのオンラインに関する診療報酬が新たに創設され、オンライン診療を取り巻く環境は整ってきております。
 これまでは、オンライン診療を中心としたお話をしてまいりましたが、ここからは、オンラインによる服薬指導のお話をいたします。
 医師により発行された処方箋に基づき、町の薬局で薬剤師が調剤する薬については、現状、法律で、薬剤師が患者さんと対面で薬の飲み方や注意すべき副作用などについて服薬指導をした上で交付することが義務づけられており、テレビ電話などを使ったオンラインによる服薬指導は認められておりません。ゆえに、現行の法体制の枠組みの中では、患者さんは、オンライン診療を受けた場合でも、医師が処方した薬を受け取るためには、患者さんみずからが薬局に出向いて、薬剤師から対面で服薬指導を受ける必要があります。高齢などの理由で薬局までの移動が困難な患者さんにとって、受診から服薬指導、薬の受け取りまでがオンラインで解決しなければ、オンライン診療の利便性は十分とは言えません。
 このような中、本県では、本年六月から薬剤遠隔指導事業を開始いたしました。
 本事業は、国家戦略特区の規制改革メニューの一つであるテレビ電話を活用した薬剤師による服薬指導の対面原則の特例を利用し、全国に先駆けて行っている事業であります。
 事業内容はと申しますと、知事の登録を受けた薬局の薬剤師が、離島、過疎地といった特区内の一定の地域に居住する患者さんに対し、オンライン診療が行われた場合に限り、薬剤師は対面の服薬指導でなく、オンラインによる服薬指導を行うことができるといった取り組みであります。
 本事業を実施することにより、離島や山間地である佐久島、日間賀島、篠島、新城市及び北設楽郡の患者さんに対し、受診から薬の受け取りまでを在宅で行うことが可能となり、非常に有意義な事業であると考えております。
 そこで、二点についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、本事業は本年六月に開始され、半年ほど経過いたしましたが、現在の実施状況をお尋ねいたします。
 二点目でありますが、本事業は国家戦略特区の規制改革メニューを活用していることから、さらなる展開を前提とした実証実験といった側面もあるかと思います。一部報道では、この実証実験を踏まえ、特区だけでなく、全国でオンライン服薬指導を実施できるよう、医薬品医療機器等法を改正する方針を厚生労働省は固め、来年の通常国会に法案を提出し、早ければ二〇二〇年春の実施を目指すとありました。
 今後、県として本事業をどのように進めていくのかお尋ねをいたします。
 次の質問に移ります。
 人は、不治の病と告げられたとき、どのような感情を示し、どのような行動を起こすか御存じでしょうか。精神科医のキューブラー・ロスはこう言っています。
 まず最初は、頭では理解しようとするが、感情的にその事実を否定いたします。次に、どうして自分だけがこんなことになるのかという怒りをあらわします。その次は、死を免れようと、神や仏にすがります。四番目は、その現実を回避できないことを知り、落ち込みます。そして、最後に、その現実を受け入れるのであります。これは、医療系の大学で学ぶ学生は、必ず聞く話であります。
 そこで、最新の治療の一つである薬剤遠隔指導の次は、人生の最終段階における医療体制の整備についてお尋ねをいたします。
 本県の平成二十九年時点における六十五歳以上の高齢者人口は約百八十三万人で、高齢化率は二四・六%となっております。
 一方で、国立社会保障・人口問題研究所による推計では、二〇二五年には六十五歳以上の高齢者は約百九十五万人、高齢化率二六・二%と、平成二十九年に比べると約十二万人の増加が見込まれております。
 高齢化の進展に伴い、死亡者数も増加してまいります。本県の死亡者数は、平成二十四年の六万一千三百五十四人から、平成二十九年には六万七千百七十七人と約五千八百人増加しており、今後も死亡者数は年々増加することが見込まれております。
 こうした中、今後は多くの方が亡くなる多死亡社会への対応が求められますが、厚生労働省の人口動態調査によりますと、平成二十五年に亡くなった方のうち、病院で亡くなった方の割合は七五・六%に対して、自宅で亡くなった方の割合は一二・九%であります。
 一方で、内閣府が平成二十四年に行った高齢者の健康に関する意識調査によりますと、最期を迎えたい場所については、自宅が五四・六%と最も多く、住みなれた自宅で人生の最期を迎えたいとの希望を持っている方が多いという結果が出ております。
 今後、高齢化が進展していく中で、可能な限り住みなれた地域で、人生の最期まで自分らしい暮らしを続けることができる地域包括ケアシステムを構築していくためにも、そのかなめとなる在宅医療の基盤を充実させていく必要があります。
 厚生労働省では、在宅医療の提供体制について、円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が可能な体制、訪問診療や訪問介護など日常の療養支援が必要な体制、入院医療機関における円滑な受け入れといった後方支援など、患者の急変時の対応が可能な体制、そして、患者が望む場所でのみとりが可能な体制の四つについて、関係機関が連携して、切れ目なく継続して行われる体制の整備を目指しております。
 愛知県は、これまでも在宅医療の提供体制の整備と人材の育成に取り組んでまいりました。特に在宅医療提供体制の構築に当たっては、平成二十七年度から全ての地区医師会に設置した四十二カ所の在宅医療サポートセンターにおいて、在宅医療に参入する医師の増加を図るための研修の実施や、訪問看護ステーションと連携した二十四時間対応可能な在宅医療提供体制の構築などを進めてまいりました。
 さらに、地区医師会の区域を越えた広域的な調整を行うため、原則として二次医療圏単位に設置した十五カ所の中核的なサポートセンターにおいて、患者急変時に受け入れ可能な後方支援病院の確保や、退院調整機能の構築などを図ってまいりました。
 また、人材育成としては、在宅医療に参入する医師の増加を図るための研修や、医師を初め看護師やケアマネジャーなど在宅医療にかかわる多職種の連携を図る研修などを実施してまいりました。
 このほか、ICTを活用して、在宅医療の関係者が患者情報を共有するシステムを県内全ての市町村で整備するため、在宅医療連携システム整備費補助金を平成二十七年度から平成二十九年度までの三年間にわたって実施をしてまいりました。
 こうした取り組みにより、本県の在宅医療の提供体制は充実強化されてきたと思いますが、一方で、国が目指す四つの体制整備のうち、患者が望む場所でのみとりが可能な体制の構築については、これからの課題ではないかと考えております。
 人の死という問題は、それぞれに人生観、価値観が異なり、また、宗教上や信仰上の考えにより、これまでは行政が積極的にかかわることはありませんでした。
 しかし、近年の高齢社会の進行に伴う在宅や施設におけるみとりの需要の増大を背景に、この問題を避けて通ることはできなくなりました。
 本年九月十五日、女優の樹木希林さんが、都内の自宅で家族に見守られながら息を引き取りました。希林さんは、生前から自宅で死を迎えたいと話されていたそうであります。まさに理想的なみとりを実現されました。
 人は誰でもいつかは人生の最期を迎えるときが来ます。そのときに、その人の尊厳のある生き方を実現するためには、本人の意思を十分に尊重して医療や介護が提供されることが重要であります。
 厚生労働省は、平成二十六年度から平成二十七年度にかけて、自宅で最期を迎えたいと考える患者の意思を尊重した医療を提供するため、適切な体制のあり方を検討するモデル事業を実施いたしました。また、モデル事業の成果を踏まえ、人生の最終段階における医療、ケアに関する患者の相談に対応できる医療ケアチームの育成研修を平成二十八年度から実施しております。さらに、平成三十年三月には、十一年ぶりに人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインが改訂をされました。
 人生の最期をどのように迎えるのかについて、個人の尊厳が重んじられ、患者それぞれの意思が尊重される形で選択がなされ、必要な医療等の提供が行われる状況を確保する必要があると考えております。
 このように関心が高まる中、県では、人生の最終段階における医療体制の整備のため、今後どのような取り組みを行っていかれるのかお尋ねをいたします。
 最後に、あいち中小企業応援ファンドによる中小企業に対する支援策についてお尋ねをいたします。
 最近の経済情勢は、内閣府から発表されました十一月の月例経済報告によりますと、景気は緩やかに回復しているとされております。また、先行きについては、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があるものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるとしております。
 一方、愛知県が調査、公表した平成三十年七月から九月期の中小企業景況調査によりますと、中小企業の景況感、足踏み続くとし、全産業平均では、業況判断、売り上げ及び採算の各DIで六月から八月の前期実績を下回りました。
 産業別の状況では、卸・小売業では、業況判断、売り上げ及び採算の各DIで前期実績を上回ったものの、製造業は業況判断、売り上げ及び採算の各DIで前期実績を下回り、建設業及びサービス業も採算DIで前期実績を下回りました。
 実際、中小企業の経営者の皆さんからは、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しく、国内人口の減少、少子・高齢化による人手不足の進行、国内需要の変化、さらには海外企業との競争など多くの課題が挙げられ、新規事業への進出、国内外への販路拡大、従業員の処遇向上、働き方改革、従業員の人材育成、利益率の向上に取り組んでいきたいとの声をお聞きしております。
 私は、企業において、自社の強みを生かした製品、商品の開発や、市場ニーズを的確に把握した上で販路を拡大していくことが経営基盤の強化と収益性の向上につながり、そのことが従業員の待遇に影響を与え、士気が高まり、人材の確保に結びつく、まさに好循環を生み出す原動力となると考えております。
 愛知県においては、平成二十年度に中小企業の新事業展開を支援するため、国が四十億円、県は三億円を資金として拠出し、県内十六の金融機関から五十七億円の資金協力を得て、公益財団法人あいち産業振興機構に総額百億円の基金、あいち中小企業応援ファンドを造成し、年間約九千三百万円の運用益により、地域資源を活用した新製品、新商品の販路の拡大に関する取り組みを支援してきました。
 平成二十七年十二月には、新たに策定したあいち産業労働ビジョン二〇一六─二〇二〇において、施策の柱である中小・小規模企業の企業力強化の中で、あいち中小企業応援ファンドによる助成制度を、中小企業が取り組む新製品、新商品開発、販路拡大など新たな事業展開の代表的支援策として位置づけ、助成事業を推進してまいりました。
 造成から十年を迎えた本年九月二十五日に借入資金の償還を迎え、本制度による助成採択実績は四百四十件、十一億三千五百万余円であり、採択件数に対し応募件数は二倍を超えていたと伺っております。
 こうした実績をお聞きすると、県、金融機関、経営支援機関の三者がかかわる本制度は、新事業の展開を考える県内中小企業にとって、なくてはならない施策の一つであったと認識をしております。
 こうした状況を踏まえ、愛知県においては、中小企業の経営課題を解決し、本県の地域経済全体の底上げにつながる大変有意義な事業であるとの認識のもと、償還日の翌日に改めて百六十億円を目途とした基金を再度造成されたところであります。
 しかし、十年前と比べて金利情勢が大きく変化し、運用債券の利率が激減しており、これまでのような運用益が見込めない中での造成であること、繊維、窯業を初めとする主要な地場産業については、国内市場の縮小が進み、海外を含む販路開拓を積極的に推し進める必要があることから、助成対象分野は繊維、窯業、食品、家具、伝統的工芸品の主要地場産業五分野に特化され、重点的に支援されるとお聞きをしております。
 本県は、国内最大の物づくり県として、自動車産業を初めとする工業品の製造を中心に発展してまいりましたが、その礎を築いたのは、古くから当地域の経済や雇用を支えてきた中小企業による地場産業であり、その功績は大きなものであります。
 平成二十九年工業統計調査によりますと、地場産業の県内製造品出荷額等に占める割合は一七・五%、同じく事業所数の占める割合は四一・四%、従業員数の占める割合は二七・六%となっており、地場産業は本県の経済基盤として、雇用の受け皿として大きな役割を担っております。
 私は、地場産業は物づくり愛知を支える大変重要な産業であると考えており、基金の再造成に当たっては、地場産業にスポットを当てることで持続的な支援が可能となり、さらなる振興に期待をしているところであります。さらに、これまで支援を行ってきた地場産業以外の産業分野への支援策につきましても、産業空洞化対策減税基金を活用し、新製品、新商品の開発等の取り組みを支援されるとお聞きをしております。ぜひとも両制度をトータル的に運用され、中小企業が行う取り組みを支援することにより、取り組みの効果を最大限引き出していただくことで、愛知の中小企業のさらなる発展につなげていただきたいと考えております。
 そこでお尋ねをいたします。
 新たなあいち中小企業応援ファンドの造成状況と制度内容、また、主要地場産業以外の産業分野に関する支援策についてお尋ねをいたします。
 これで私の壇上からの質問といたします。どうもありがとうございました。(拍手)

◯健康福祉部保健医療局長(松本一年君) 薬剤遠隔指導事業に関する御質問のうち、まず、事業の現状についてお答えいたします。
 特区を活用した薬剤遠隔指導事業につきましては、本年五月の内閣府主催の国家戦略特別区域会議において、本県の区域計画が了承され、六月十四日に諮問会議を経て、内閣総理大臣に認定されました。同様に、福岡市、兵庫県養父市の区域計画も認定されております。
 本県では、六月二十一日にオンライン服薬指導を行う薬局として、アイン薬局稲沢店を全国で初めて登録し、現在までに、キョーワ薬局長久手店、たんぽぽ薬局新城店及び日本調剤瀬戸薬局を加えた計四つの薬局を登録しております。これまでのところ、三つの薬局が離島、三河山間地域にお住まいの三人の患者さんに対してオンライン服薬指導を実施しており、利用者の方からは、遠い薬局に行かなくても、オンラインで十分な説明を受け、郵送で薬をもらえるようになり、とても便利になったなどの意見をいただいております。
 次に、本事業をどのように進めていくのかについてお答えいたします。
 本事業により、オンライン服薬指導を受けることができる患者さんは、離島や三河山間地域に居住し、自宅近くに薬局がないこと等の条件がありますが、患者さんにとっては利便性が向上し、有意義な事業となっております。
 国は、本年六月に公表された規制改革推進会議の答申を受けて、オンライン服薬指導に関する規制緩和について検討しているところであり、本県等の事業の実施状況を踏まえ、今年度中に結論を出し、来年度に関係法律の改正を予定しているところでございます。
 本県といたしましては、事業の実施状況を随時国に情報提供し、国の検討に生かしていただくとともに、本事業のさらなる活用を推進することで、地域医療の確保、充実に努めてまいります。
 続きまして、人生の最終段階における医療体制の整備についてお答えいたします。
 厚生労働省は、近年の高齢化の進行に伴う在宅医療やみとりの需要の増大を踏まえ、本年三月に人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインを改訂いたしました。新たなガイドラインでは、アドバンス・ケア・プランニング、略してACPの重要性が強調されております。ACPとは、患者本人にとって最善の医療やケアを提供するために、本人の意思を尊重し、医療・ケアチームや家族等が繰り返し話し合いを行うプロセスのことであります。
 なお、十一月三十日に、厚生労働省はACPの普及に向け、その愛称を人生会議とすることを発表いたしました。
 こうした中、本県では、本年度から新たにこの分野をリードしている国立長寿医療研究センターに事業を委託し、全国に先駆けてACPに取り組む人材を育成するあいちACPプロジェクトを進めております。この事業では、人生の最終段階における本人の意思決定を支援する相談員を養成するため、相談対応力向上研修会を九月から十一月にかけて県内十カ所で開催し、医師、看護師、ケアマネジャーなど七百七十九人に参加していただきました。
 さらに、一月からは、この研修受講者を対象に、相談対応能力のさらなる向上を目指して、フォローアップ研修を開催することとしております。
 県といたしましては、引き続き国立長寿医療研究センターと連携して、ACPに取り組む医療・介護関係者を育成し、患者本人にとって最善の医療やケアを人生の最終段階において提供できる体制の整備を図ってまいります。

◯産業労働部長(伊藤浩行君) あいち中小企業応援ファンドの造成状況、制度内容及び主要地場産業以外の産業分野に関する支援策についてお答えいたします。
 平成二十年度の制度創設から十年間の事業成果として、助成先の半数以上が事業化に成功するなど、中小企業の新事業展開の取り組みの一助として着実に成果を上げてきたことから、あいち中小企業応援ファンドによる助成制度を継続することといたしました。
 最近の低金利環境下において、助成金の原資となる運用益を確保するため、ファンド造成資金である金融機関からの拠出額の増額と、新たに金融機関二行に参加いただき、総額百五十八億円に規模を拡大して、本年九月二十六日に新ファンドを造成いたしました。
 また、ファンドの運用では、安全性と運用利率が高い電力債を調達し、当初見込んだ年間運用益三千万円を大幅に上回る約四千九百万円を確保するとともに、助成対象を繊維、窯業、食品、家具、伝統的工芸品の主要地場産業五分野に特化した制度へと見直しを行いました。
 さらに、主要地場産業五分野以外の産業分野を支援するため、産業空洞化対策減税基金を活用して、新たに五千万円の取り崩し型基金を造成しました。助成事業を八月から九月にかけて募集したところ、三十一件、約五千九百万円の応募があり、十一月初めに二十四件、約四千九百万円を助成事業として採択しております。
 旧ファンドの運営において、拠出いただいた金融機関には、ファンドの実施機関である公益財団法人あいち産業振興機構との間で業務提携を結び、制度のPRに協力いただいておりました。今後は、両制度に係る助成案件の発掘や、助成対象となった企業の資金確保に関する相談なども行っていただき、県、金融機関、実施機関の三者が連携を図ることで、中小企業のニーズに合った利用しやすい制度の運用に努めてまいります。
 県といたしましては、今後も両制度を通じて、地場産業を初めとする産業全般の中小企業振興に向けた支援にしっかりと取り組んでまいります。