◯六十四番(いなもと和仁君) 通告に従いまして、順次質問をいたします。
 まず初めに、愛知デスティネーションキャンペーンについてお尋ねをいたします。
 人生には上り坂、下り坂、まさかの、三つの坂があると、人生の大先輩方からいろいろな場面でお聞きをしたものであります。
 最近の若い人たちにとって、坂といえば、乃木坂、欅坂、日向坂、そんなあたりかもしれません。
 私自身にとっては、赤坂、神楽坂、道玄坂、一度は行ってみたい坂であります。
 そんな世の中に数ある坂の中で、まさかが順調に右肩上がりで成長してきた旅行業界、観光業界に待ち受けておりました。
 最近の日本と韓国のさまざまな問題により、特に九州、沖縄、北海道、大阪など、韓国人旅行客が多く訪れる地域で影響が出始めております。
 訪日外国人観光客をふやすことも確かに必要なことでありますが、私は常々、日本全国に愛知の魅力をアピールし、日本人観光客のさらなる誘致も大切なことであると考えておりました。
 幾つかの事例をお示ししながら、二つの点についてお尋ねをいたします。
 我が国の観光をめぐる状況でありますが、訪日外国人旅行者数については、本年六月に観光庁から公表された令和元年度版観光白書によりますと、昨年は三千百十九万人となり、初めて三千万人を突破いたしました。
 また、訪日外国人旅行客の消費額についても、昨年は四兆五千百八十九億円となり、七年連続で前年を上回っております。
 日本政府観光局の九月十八日発表によると、ことしに入ってもこの傾向が続き、今年一月から八月までの訪日外国人は、前年同期比三・九%の増となっておりますが、八月だけを見ると、訪日外客数が多い韓国がマイナス四八%となった影響で、全体として前年同月比で二・二%減となっております。
 本県においても、中部国際空港の一部の韓国便が、八月下旬から減便になるなどの影響も出ているため、今後の動きに十分に注意を払っていく必要があると思います。
 一方、昨年の日本人の国内旅行については、宿泊者数が延べ二億九千百五万人で、前年から約一割減少し、日帰り旅行についても、延べ二億七千七十三万人と、前年から一六%以上減少しております。
 これは、西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの災害に起因する一時的な減少と考えられますが、日本人の旅行消費額が約二十兆円と、外国人の四・五倍あることを踏まえますと、観光を産業として地域の活性化につなげていくことは、大変重要であると思います。
 そのような中、八月三十日に本県と名古屋市が連携して取り組んできた高級ホテル誘致に向けた補助制度の方針が発表されました。
 国際会議や企業のVIPが集まるミーティング、展示会などのMICEの開催は、本県の国際的知名度とステータスを向上させることはもちろん、一人当たりの消費額が一般の観光旅行に比べて高額であることから、地域活性化につながるものとして、各地で誘致活動が活発に行われております。
 高級ホテルは、MICEの開催会場や、MICEに参加するVIPの宿泊先として必要となりますが、当地域には名古屋市内に数軒しか立地していない状況であります。
 このたびの補助制度の方針を見ますと、対象となるホテルは、首脳クラスが参加する国際会議の開催も可能とするため、平均客室面積が四十五平方メートル以上の百五十室以上のホテルで、そのうち五%以上をスイートルームとし、その中には、おおむね百平方メートル以上の国賓級の要人に対応できる客室を設置することとされております。
 このほか、宴会場や車寄せ、複数のレストランなどの設置を求めております。
 今回、こうした高級ホテルに対し、名古屋市内の場合、最大二十億円を支援することとなり、これによって誘致が実現できれば、首脳クラスが参加する国際会議を初め、学会、企業の大規模ミーティング等の誘致、開催や海外からの富裕層旅行者の本県への訪問につながっていくものと大いに期待をしております。
 そのほかにも、現在、耐震工事を行っている名古屋テレビ塔の四階、五階部分にも高級ホテルができる予定と聞いており、こちらはタワーの中にできる世界でも珍しいホテルということであります。
 計画では、レストラン、カフェ、バーチャルリアリティーを活用したエンターテインメント施設などが入る複合型の集客施設にリニューアルされ、また、すぐ近くにはインスタ映えするスポットとして外国人に人気のオアシス21がありますので、新たな名古屋の名所になるのではと、来年七月のオープンが非常に楽しみであります。
 私もぜひこのホテルに泊まり、名古屋の夜を堪能したいなと、今から楽しみにしている次第であります。
 こうした宿泊施設の充実に対する期待とともに、本県へ人を呼び込む観光の力をさらに高めていくことが大切であります。
 大村知事は、二〇一五年をあいち観光元年とする旨の宣言を行い、観光集客を、愛知の生命線である製造業、物づくりに加えて、愛知の新たな戦略産業として位置づけました。
 そして、二〇一六年には本県が取り組むべき具体的なプロジェクトを盛り込んだアクションプログラム、あいち観光戦略を策定し、この戦略に基づく各種施策により、発見、感動、伝えたい観光県あいちの実現を目指し、さまざまな取り組みが進められております。
 この施策の一つとして、二〇一七年度から三カ年で観光客の大幅増加、定着化を目的とした全国規模の大型観光キャンペーンである愛知デスティネーションキャンペーンに取り組んでおります。
 昨年は、その本番となる集中キャンペーンとして、十月から十二月まで全国のJRグループと連携した事業を実施いたしました。
 JRグループにおいては、全国の主要駅に県内観光資源を紹介した五枚組のポスターを掲出していただくとともに、本県の観光情報やキャンペーン期間中に開催される特別企画、イベント情報などを掲載したガイドブックを設置していただくなど、全国に向けた情報発信について御協力をいただいたとお聞きをしております。
 また、三英傑の名を冠したラッピング車両を用いた武将隊列車、尾張・知多・三河エリアの特色を押し出した地元タイアップ観光列車の運行や、県内十の鉄道事業者と共同で記念切符を限定販売するなど、このキャンペーンを大いに盛り上げていただきました。
 そして、主な旅行会社からは、往復新幹線に宿泊と、愛知県内全ての鉄道路線と主な観光地へアクセスする一部のバス路線が二日間乗り放題となる、愛知DCフリーきっぷなどをセットにした旅行商品を販売されております。
 一方、地元では、県内の自治体や観光協会などの観光関係団体、観光施設や宿泊施設などの観光事業者が協力し、名古屋城、犬山城、博物館明治村、徳川美術館、鳳来寺などで国宝や重要文化財などの特別公開を初めとした目玉となる企画を提供いたしました。
 あわせて、本県が持つ観光資源を、武将観光や醸造文化、絶景スポットなど、さまざまなテーマで結び、県内観光地をお値打ちにめぐっていただく周遊バスが全十八コースで運行いたしました。
 このような取り組みの成果として、期間中の県内の観光・レクリエーション資源の利用者数は、前年同期比一八・七%増の三千六百三十七万人となり、一定の成果があったものと思われます。
 また、香嵐渓や名古屋城など、本県の定番スポットに加え、これまで余りツアーに組み込まれてこなかったスポットへの広がりが出ているとお聞きしておりますので、今後は、この流れをぜひとも維持、拡大していただきたいと思います。
 一方で、課題も明らかになっております。
 県内観光地をめぐる周遊バスについては、実証実験的に取り組んだということでありますが、盛況なコースがあった一方、集客状況が低調であったり催行できなかったものがあるなど、エリアや時期によって集客にばらつきがあったともお聞きをしております。
 そこでお尋ねをいたします。
 昨年の愛知デスティネーションキャンペーンの集中キャンペーンの成果と課題を踏まえ、本年十月から十二月にかけ実施するアフターキャンペーンは、どのような内容となるのか。
 また、愛知デスティネーションキャンペーンは今年度で終了いたしますが、この成果が今後の本県の観光振興施策にどのようにつなげていくのか、お尋ねをいたします。
 次に、ひとり親家庭に対する支援についてお尋ねをいたします。
 本県のひとり親家庭は、平成二十七年の国勢調査によれば四万五千七百七十一世帯で、十五年前の三万六千三十四世帯から二七%増加しております。
 また、平成二十八年の全国ひとり親世帯等調査の結果によりますと、母子世帯になった理由は、離婚が七九・五%と最も多く、次いで、未婚の母八・七%、死別八%となっております。
 父子世帯になった理由は、離婚が七五・六%と最も多く、次いで、死別が一九%となっております。
 昭和五十八年は、母子世帯、父子世帯とも、離婚が約五割、死別が約四割でしたので、三十年間でひとり親になった理由が大きく変化したことがわかります。
 本県のひとり親家庭の子供の貧困率は、平成二十八年度に愛知県が実施した愛知県ひとり親家庭等実態調査では五二・九%となっており、全国とほぼ同水準であります。
 同じ時期に実施した愛知子ども調査では、本県の子供の貧困率は五・九%と、全国平均の一三・九%を大幅に下回っていたことと比較いたしますと、ひとり親家庭の子供たちは大変厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 また、平成二十八年度国民生活基礎調査によりますと、全国の児童のいる世帯の平均所得金額が、七百七万六千円であるのに対し、愛知県の実態調査では、本県の母子家庭の平均年間世帯収入は、二百四十七万六千円であり、二百万円未満の世帯が全体の四六・七%を占めております。
 このため、現在の暮らし状況について、大変苦しい、またはやや苦しいと回答した人が七〇・八%を占めており、経済的に大変厳しい状況がうかがえます。
 こうした状況となる要因としては、母子世帯の母親は、九一・三%が仕事についているものの、そのうち、臨時・パート・派遣社員が四七・九%と、半数近くが非正規雇用のため、どうしても就労収入が低いためだと思われます。
 ひとり親家庭の方々が苦しい生活を少しでも改善できるよう、これまでも国や県ではさまざまな取り組みが進められておりますが、こうした取り組みを推進するため、昭和三十九年に制定されたのが母子福祉法であります。
 この法律には、母子家庭に対する福祉資金の貸し付けや、就業支援事業等の実施について規定されております。
 昭和五十六年に法律の名称が母子及び寡婦福祉法に改正され、さらに、平成二十六年には父子家庭も対象に加え、名称も母子及び父子並びに寡婦福祉法に改正されました。
 ひとり親が就業し、仕事と子育てを両立しながら経済的に自立するとともに、子供が心身ともに健やかに成長できるよう、また、子供の貧困対策にも資するよう、支援体制の充実や支援施策周知の強化が図られました。
 そして、国においては、平成二十七年十二月に決定した、すくすくサポート・プロジェクトに基づき、就業による自立に向けた就業支援や子育て支援、学習支援、居場所づくりなどの支援施策が進められております。
 こうした国の動きを踏まえ、愛知県でも、平成三十年二月に作成された、子どもが輝く未来へのロードマップに基づき、市町村等と連携しながら、就業支援や経済支援、生活支援など、さまざまなひとり親支援が進められております。
 また、このような支援に加え、国においては、はたらく母子家庭・父子家庭応援企業表彰を行っております。
 この事業は、母子家庭の母親または父子家庭の父の就業を積極的に支援している企業等を表彰し、ひとり親家庭の親の就業促進に向けた社会的機運の熟成を図るものであります。
 平成三十年度は全国で三社が表彰されました。
 そこで、そのうちの一社である夕食材料等の配達事業を行っている株式会社ヨシケイ埼玉の取り組みを御紹介させていただきます。
 この会社の全従業員に占めるひとり親の割合は一八・七%であり、全従業員に占める、正社員であるひとり親の割合も一八・三%と、働くひとり親のほとんどが正社員として働いております。
 この会社では、ひとり親であっても何の心配もなく働けるよう、会社ぐるみで子育て支援に取り組んでおります。
 具体的には、子供を家で待たせないために定時退社の促進、家庭での楽しい時間のための有給休暇の取得推奨、子供が病気でも休めるバックアップ体制などを行っているとのことであります。
 この企業からのメッセージには、何の心配もなく仕事に専念できる、時代に合った環境づくりを続けていきたいとありました。とてもすばらしい取り組みであると思います。
 この企業の例にもあるように、ひとり親の自立促進を図るためには、ひとり親家庭を取り巻くさまざまな環境の整備が必要でありますが、その中でも、特にひとり親家庭の親に係る就業支援が非常に重要であると考えております。
 とりわけ、今御紹介いたしました、株式会社ヨシケイ埼玉のように、ひとり親家庭に理解のある企業に、より多くのひとり親の方が就職できるようにする取り組みが大切なことではないかと思います。
 本県では、ひとり親に対する就業支援について、どのように取り組んでいるのかお尋ねをいたします。
 最後に、知の拠点あいち重点研究プロジェクトについてお尋ねをいたします。
 本県の製造品出荷額等は、令和元年八月二十三日に公表された平成三十年工業統計調査によりますと、四十六兆九千六百八十一億円と、前年に比べ二兆円ほど増加し、昭和五十二年以来、四十一年連続で全国一位となっております。二位の神奈川県が約十七兆九千五百六十四億円であり、大きく開きがあります。
 また、国内総生産の都道府県版、県内総生産では大阪府を抜いて、東京都に次ぐ全国第二位となるなど、基幹産業である自動車産業を中心とした世界的な物づくり地域として着実な発展を遂げてまいりました。
 本県では、こうした物づくりを支えるため、平成二十四年から付加価値の高い物づくり技術の研究開発拠点として、知の拠点あいちを段階的に整備してまいりました。
 知の拠点あいちは、平成二十四年二月に、あいち産業科学技術総合センター、平成二十五年三月に、あいちシンクロトロン光センター、そして、平成二十八年三月に、新エネルギー実証研究エリアが供用開始されました。
 あいち産業科学技術センターは、産業技術センターを初めとした、四つの技術センターの本部として機能するほか電子顕微鏡を初めとした高度な計測分析機器、一つから試作品をつくることができる積層造形装置、そして、企業や大学が共同で使う研究室等を備え、日々、県内企業を中心に、多くの方々が訪れています。
 また、あいちシンクロトロン光センターは、分子や原子レベルで物質の組成等を解析できるナノレベルの計測分析施設として、全国八番目に整備され、本県以外の七施設が学術利用を中心としているのに対し、あいちシンクロトロン光センターは、産業利用を中心としており、県内外から、多くの企業が研究開発や問題解決のために利用しております。
 そして、新エネルギー実証研究エリアは、県内企業が新エネルギー関連の研究を行うために利用するものであり、太陽光発電、バイオマス等を活用する実証研究が行われています。
 知の拠点あいちは、オープンから七年余りが経過し、これまでに四万人の企業の技術者や大学の研究者が訪れ、さまざまな技術的・学術的課題の解決に貢献してまいりました。
 こうしたことから、知の拠点あいちは、物づくり愛知を支える重要な働きをしているものと考えております。
 特に、知の拠点あいちの中核事業である重点研究プロジェクトは、大学等の研究シーズを活用し、新技術の開発や新産業の創出を図るため、産学行政が連携して行う共同研究開発として、知の拠点あいちのスタートから継続的に実施されています。
 I期では、平成二十三年度から平成二十七年度までの五年間、次世代ナノ・マイクロ加工技術の開発プロジェクト、食の安心・安全技術開発プロジェクト、超早期診断技術開発プロジェクトの三プロジェクトが行われました。
 これらのプロジェクトでは、飛行機のジェットエンジンの部品を高速で加工する技術が確立し、参加企業の生産現場に取り入れられたり、自動車部品企業が食品中の食中毒菌を素早く検査できる装置を製品化し、新分野進出を図ったり、あるいはトイレで簡単に尿の塩分を調べる便座を開発し、実証実験を続けている等の実績があると伺っております。
 その後、昨年度まで行われたII期では、次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト、近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクト、モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクトの三つのプロジェクトが行われたとお聞きしております。
 そして、本年度から開始されたIII期については、本県の基幹産業に多大なる影響を及ぼすとされる自動車のコネクテッド、自動運転、カーシェアリングとサービス、そして、電気自動車を示すCASEと呼ばれる自動車の百年に一度の大変革期への対応や、人工知能、さまざまな情報がデータ化され、ネットワークでつなげてまとめ、解析、利用することにより、付加価値を生み出すことによる第四次産業革命の進展に対応した取り組みを行う必要があると考えます。
 とりわけ、第四次産業革命は、あらゆるものがインターネットにつながり、新たな製品・サービスの開発につながるものであり、生産、販売、消費といった経済活動に加え、健康、医療、公共サービス等の幅広い分野や人々の働き方、ライフスタイルにも影響があると言われております。
 このように、本県の物づくりが、これまでに経験したことがないような大きな局面を迎えている中で、III期が開始されたわけでございます。
 特に、県内中小企業にあっては、こうした産業が大きく変化していく局面に対応した研究開発を一企業で行うことは極めて困難で、こうした点からも産学行政連携による重点研究プロジェクトの取り組みは、その重要度がますます高くなっているものと思います。
 そこでお尋ねをいたします。
 昨年度まで実施した重点研究プロジェクトII期では、具体的にどのような研究成果が得られたのか。また、本年度から開始された重点研究プロジェクトIII期では、本県が直面する物づくりの大きな変化の中で、どのような研究開発を進め、そして今回のIII期にどのような特色があるのか、お尋ねをいたします。
 これで壇上からの質問といたします。ありがとうございました。(拍手)

25 ◯観光コンベンション局長(藤田昇義君) 愛知デスティネーションキャンペーンについての御質問のうち、初めに、本年十月から十二月にかけて実施するアフターキャンペーンの実施内容についてお答えをいたします。
 まず、地域の関係者の御尽力により実施する特別企画につきましては、昨年好評だった愛岐トンネル群紅葉シーズン特別公開、吉田城鉄櫓手筒花火特別放揚などのほか、通常では入坑できない東栄町にある粟代鉱山軌道の特別見学などを新たに用意し、旅行者をお迎えいたします。
 加えて、JR東海では、昨年運行して盛況だったモーニングトレイン一宮、知多鉄道酢トーリー、おいでん奥三河の三本の観光列車を今回も運行するとともに、県内各地の観光地やイベントを組み込んださわやかウオーキングについては、ウオーキングビンゴも開催するなど、工夫をして実施いたします。
 また、大手旅行会社各社と連携し、主に首都圏、関西方面からの旅行者に向けた、期間中限定のお値打ちで便利な旅行商品を用意して、遠方からの誘客につなげてまいります。
 県内の観光地をめぐる周遊バスにつきましては、昨年の十八コースから三十三コースに充実させるとともに、発着駅を、乗車率の高かった名古屋駅、豊橋駅に集中させ、旅行者の利便性を高め、集客力を向上させてまいります。
 このように、昨年の集中キャンペーンの成果を踏まえ、より魅力あるものに磨き上げた企画をアフターキャンペーンに組み入れ、観光誘客に取り組んでまいります。
 次に、愛知デスティネーションキャンペーンの結果を、今後の本県の観光振興施策にどのようにつなげるかについて、お答えをいたします。
 今回のキャンペーン実施に当たっては、観光にかかわる地域のさまざまな関係者により、愛知県大型観光キャンペーン実施協議会を設立し、地域が一丸となって多くの事業を進めてまいりました。
 昨年の集中キャンペーンの終了後には、この協議会において、各事業の実施結果を取りまとめ、課題分析を行った上で対応を検討し、ことしのアフターキャンペーンがより効果的に実施できるよう工夫をした内容にしてまいりました。
 今回のキャンペーン全体が終了する時点においても、三カ年にわたる事業の成果を取りまとめ、協議会に参画された関係者間で課題の洗い出し、今後の取り組み方向の検討を行い、情報共有を図ることで、今後の愛知の観光振興施策の充実につなげてまいります。

26 ◯福祉局長(平田雅也君) ひとり親に対する就業支援についてお答えいたします。
 ひとり親は、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人で担っておられ、希望する仕事や正規職員につくことが難しい場合が多いなど、ひとり親を取り巻く雇用環境は大変厳しいため、安定した雇用につなげる支援が重要であると認識しております。
 本県では、これまでも社会福祉法人愛知県母子寡婦福祉連合会に、母子家庭等就業支援センター事業を委託し、ひとり親が自立に向けた資格を取得するための講習会や就業相談などを実施しております。
 昨年度は、就業支援講習会を二十一回実施し、三百十五人が受講するとともに、就業相談については、一万二百八十七件の実績がありました。
 今年度はこうした取り組みに加え、新たに、子育てしながら働く方々の就労に理解があり、その採用に意欲のある企業を集めたひとり親向け合同企業説明会を実施することとしております。
 製造業、商社、福祉、医療、情報処理など、幅広い業種の企業二十社が個別ブースを設け、企業の担当者が事業内容や採用について、参加者の皆さんに直接説明をすることにより、一人でも多くの方のマッチングにつなげていきたいと考えております。
 先日、九月二十三日に、第一回説明会を名古屋駅前のウインクあいちで開催いたしました。
 参加された方からは、企業の担当者の話が直接聞けてよかった、子供連れでも参加できてよかったなどの声をいただいたところであります。
 次回の説明会は、十二月に、JR刈谷駅近くの刈谷市産業振興センターでの開催を予定しており、多くの方に参加いただけるよう周知に努めてまいります。
 県といたしましては、今後ともこうした就業支援を初め、子供の学習支援や居場所づくりなどの生活支援、県独自の手当の支給などの経済支援を着実に推進し、ひとり親家庭の生活が安定するよう、また、子供が健やかに成長できるよう、しっかりと応援してまいりたいと考えております。

27 ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 知の拠点あいち重点研究プロジェクトのうち、まず、II期の研究成果について、お答えいたします。
 重点研究プロジェクトは、大学や県内企業がコンソーシアムを組み、本県における物づくり産業のイノベーション創出を目指すもので、これまでに、企業は数々の製品を生み出し、大学は研究を通して地域貢献を行うなど、双方にとってメリットがある形で進めてまいりました。
 III期では、三つのプロジェクト、二十六の研究テーマに、九十九社、十七大学、十一公的研究開発機関等から八百九十八名の技術者や研究者が参加し、その結果、全ての研究テーマにおいて試作品が完成、このうち二十一件が製品化に至りました。
 そして、関連する特許出願四十六件、研究成果の報道発表二十二件を行いました。
 プロジェクト終了後も、参加企業が中心となって、引き続き、量産品の開発を進めております。
 主な研究成果として、次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクトでは、介護医療現場で夜間の見回りをするロボットを開発し、現場での有効性を確認、現在、低コスト化した量産モデルの開発が進んでいます。
 近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクトでは、天然ガスから水素をつくり出す際に必要な触媒について、高性能な触媒を開発し、現在二カ所の水素ステーションに導入し、長期使用による性能確認を進めています。
 モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクトでは、電気自動車などの電子回路において、熱を逃がすために不可欠な新材料を開発し、現在、この新材料を生産・販売する大学発ベンチャーを創業し、事業を進めています。
 このため、本年度から、参画企業による確実な製品化のフォローと、研究成果を地域企業に技術移転するため、あいち産業科学技術総合センターに、重点研究プロジェクトII期総合成果活用プラザを設置して、性能評価等の支援を行っております。
 次に、重点研究プロジェクトIII期について、お答えいたします。
 III期では、県内主要産業が直面する喫緊の課題に対応した三プロジェクト、二十六の研究テーマに百社、十六大学、十一研究開発機関等が参加し、研究開発を開始したところであります。
 一つ目の近未来自動車技術開発プロジェクトでは、電気自動車の航続距離を飛躍的に伸ばす高性能なモーターやインバーターの開発を進めるとともに、自動運転の実現と先進プローブデータを活用した交通安全に貢献する技術開発に取り組みます。
 二つ目の先進的AI・IoT・ビッグデータ活用技術開発プロジェクトでは、物づくり現場の設計、生産、検査から、農業、健康長寿までの幅広い分野において、情報処理技術の活用を促進するとともに、複数ロボットの一括制御やエネルギー最適配分のための水素蓄電の技術開発に取り組みます。
 三つ目の革新的モノづくり技術開発プロジェクトでは、物づくり愛知の根幹をなす基盤技術のさらなる高度化のため、繰り返しの実験にかわり、コンピューター上で大量のデータを解析する材料、プロセスの開発や、それらの性能の裏づけとなるシンクロトロン光を初めとした評価技術の開発に取り組みます。
 III期の特徴としては、参加企業百社のうち、中小企業が六十四社を占め、このうちスタートアップ企業が八社参加します。
 スタートアップ企業には、ITを駆使した新しいロボット向けプラットフォームや自動車の遠隔監視システムの開発など、画期的な技術による物づくり愛知への貢献を期待しております。

28 ◯知事(大村秀章君) いなもと和仁議員の質問のうち、私からも、愛知デスティネーションキャンペーンについてお答えをいたします。
 まず、本年十月からスタートするアフターキャンペーンにつきましては、先ほどの局長の答弁のとおり、より魅力のある企画を用意し、全国からの集客につなげてまいります。
 その際には、愛知の持つさまざまな観光資源をしっかりとPRしていくことが大切であります。
 名古屋城、犬山城などの武将観光、鉄道、航空機などの産業観光、あるいは花祭り、山車などの歴史文化といった、愛知を代表する魅力ある観光資源を、日本全体の幅広い皆様方にお届けできるような広報活動を計画してまいります。
 そして、三カ年にわたる愛知デスティネーションキャンペーンの成果を次の観光施策に生かしていくことも、大変重要な視点であります。
 今回のキャンペーンを通じ、市町村、観光関係団体、観光事業者が、観光素材の磨き上げ、旅行商品の企画を行う中で、観光に対する意識や取り組みが大きく向上いたしました。
 また、そうして組み上げた商品を全国に売り込んでいく上では、キャンペーンを通じて協力関係を築くことができた交通事業者や、域外の旅行業者が大きな役割を果たしております。
 こうした県内の観光関係者の意識の高まりや、広域的な交通事業者とのネットワークを一過性のものとせず、さらに継続していくことが愛知の観光振興にとって重要になってくると考えます。
 まずは、今回のアフターキャンペーンで愛知の観光誘客をさらに拡大させ、そして、デスティネーションキャンペーン全体の成果を継承、発展させることで、愛知の観光振興をさらに前進させてまいります。

29 ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 先ほど、本来II期では三つのプロジェクト、二十六の研究テーマで九十九社が参加しているという発言をするところを、III期というふうに誤って発言しましたので訂正させていただきます。