令和4年9月定例会(第4号) 本文 2022-09-29

◯六十三番(いなもと和仁君) 通告に従いまして、順次質問をいたします。
 マスクもない、消毒薬もガーゼもない、そして、レジを開けば売上げが全くない。私は、令和二年六月議会一般質問の冒頭、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているある薬局経営者の悲痛な声を紹介いたしました。
 二年たった今、当時、一箱五十枚入り、四千円でも飛ぶように売れたマスクは十分の一の四百円でも全く売れず、窃盗事件にまでなった手指消毒用アルコールは間もなく使用期限を迎えようとしており、店内の片隅に山積みとなっております。欲を出して大量に仕入れなければよかった、多くの業者は今では落胆の声を上げております。感染拡大から二年半が経過した現在では、感染症対策も新型コロナウイルスに対する治療法も確立されてまいりました。
 しかし、その一方で、アセトアミノフェン系、ロキソプロフェン系と言われる解熱鎮痛剤の品不足から始まり、せき止め、うがい薬、トローチ剤まで製造が追いつかず、出荷規制となっております。どうして薬がないんだと患者からはなじられ、ドクターからは何とか在庫を確保できんかねと強い要望の中、かかりつけ薬局、かかりつけ医の使命に燃え、高い感染リスクの中、治療に当たっているのが医療現場の最前線の現状であります。当時と変わらないのは、レジの中は一向に増えていないことであります。
 そんな中、従前は登録した医療機関でしか処方、調剤できなかった抗ウイルス剤、一般名モルヌピラビルが九月十六日から薬価収載され、いよいよ経口治療薬が一般流通となり、近所のかかりつけ医での処方も可能となりました。
 ただ、この薬は一錠二千三百五十七・八円と高価で、一日二回、朝夕に四錠ずつ五日間服用しなければならず、単純計算すると九万四千円余りとなり、三割負担の患者さんは薬代だけで二万八千円以上を超える支払いとなります。当面は公費負担となりますが、自己負担となった場合、非常に大きな経済的な負担を強いることになります。
 新型コロナウイルス感染症の国内での発生状況は落ち着いてきております。また、WHOのテドロス事務局長が、世界的大流行はまだ到達していないが終わりが視野に入ってきたと述べていますが、これが今回の経口治療薬の一般流通、オミクロン株対応ワクチンの接種の推進により現実のものとなりつつあります。
 一方で、これから冬にかけて心配される感染症は、新型コロナウイルス感染症だけではありません。新型コロナウイルス感染症による死亡者数が増加しておりますが、コロナ禍前には、インフルエンザに関連して、高齢者をはじめ多くの方が亡くなっております。これから冬に向け、インフルエンザの本格的なシーズンを迎えることから、警戒をしていく必要があります。
 インフルエンザの国内の流行状況につきましては、あらかじめ県で定めた医療機関から患者数の報告を受けることにより把握されており、毎週、県の衛生研究所のウェブページにおいて公表されております。
 この情報によりますと、新型コロナウイルスの発生前であります三シーズン前、二〇一九年度までは、年間を通じて常に一週間当たり数人の患者報告があり、流行のピーク時には一万人を超える患者数が報告されることも珍しくありませんでした。しかしながら、直近の二シーズンであります二〇二〇年度、二〇二一年度は、本格的なシーズン前である九月までは患者報告数がほとんどゼロであり、また、流行シーズンでもあるはずの冬場でも一週間当たり十人を超えることもないような状況で、幸いにもインフルエンザの流行はありませんでした。
 この二シーズンにインフルエンザの流行がなかったことは大変よいことではありますが、ウイルスに接する機会が減少したことで免疫を高める機会を失い、免疫を持たない人が増えていることが考えられます。
 また、南半球では、日本のインフルエンザシーズンに半年ほど先行してシーズンを迎えます。日本同様、新型コロナウイルス感染症発生後はインフルエンザの流行がなかったオーストラリアで、今シーズン、インフルエンザの流行が確認されたところであります。
 政府は、ウイズコロナに向けて、海外からの渡航者受入れも本格化しようとしている中、海外からウイルスの持込みも懸念されるところであります。
 実際、現在の県内のインフルエンザの状況はといいますと、既に一週間当たり二桁の患者数の報告が続いており、全国的にも同様の傾向がうかがわれております。こうしたことから、今年の冬は、三シーズンぶりにインフルエンザの本格的な流行が予想されると聞いております。
 感染症対策といたしましては、正しい知識を持ち、適切な予防方法を取ることが重要であると考えます。現在進められている新型コロナウイルス感染症対策においても、ワクチン接種が重要な役割を担っており、県ではその推進を進めてきたところであります。また、新型コロナウイルスワクチンについては、一定の間隔を空けて次の接種を行う必要があり、ワクチンの流通管理、接種間隔の管理に大変な苦労があったことと思います。
 一方、これから流行のシーズンを迎えるインフルエンザに対しても、重症化を防ぐため、有効なワクチンが用意されております。インフルエンザワクチンを打つ場合には、新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔が緩和されたことから、ワクチン接種を希望する方が増えると思われます。こうしたことから、希望する方が速やかにインフルエンザワクチンを接種できるよう、ワクチンを十分に確保し、体制を整えていく必要があります。
 そこで、今年の冬、流行すると言われておりますインフルエンザ対策をどのように取っていくのかお伺いをいたします。
 次に、合併処理浄化槽の整備促進及び浄化槽の適正な維持管理の推進についてお尋ねをいたします。
 本県は、日本一のモノづくり県であるからこそ、環境分野でもトップランナーであるべきという考えの下、第五次環境基本計画を策定し、環境面における安全・安心の確保、地球温暖化対策、自然との共生、資源循環を総合的に向上させていくとともに、環境ビジネス振興による経済成長、グリーンインフラの推進による防災、減災の強化などといった経済、社会との融合を図ることで、持続可能な社会づくりの国際目標であるSDGsの達成に大きく貢献する環境首都あいちの実現を目指しております。その中で、恵み豊かな伊勢湾、三河湾の環境再生は大きな課題であります。
 私は、平成二十九年九月議会の一般質問において、伊勢湾、三河湾の水質汚濁の主な原因である生活排水を浄化するために、単独処理浄化槽から下水道と同等の浄化機能がある合併処理浄化槽の整備促進と浄化槽の機能を維持するための適切な維持管理の必要性について申し上げてまいりました。
 その後、国は、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進と浄化槽の維持管理の向上を目的に、令和元年六月に浄化槽法を改正いたしました。
 本県の令和二年度末の浄化槽設置基数は全国二位の約五十四万六千基であり、このうち風呂や台所などの生活雑排水を処理しない単独処理浄化槽は全国一多い約三十二万五千基が設置されております。下水道や集落排水区域内のものについては、下水道などの整備に合わせて接続することによりなくなりますが、問題は区域外に設置されている約七万基の単独処理浄化槽であります。
 令和元年の法改正で、そのまま放置すれば生活環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生ずるおそれのあるものは特定既存単独処理浄化槽として除却等の指導の対象となるなど、規制が強化されました。単独処理浄化槽は設置後三十年以上を経過しているものも多く、老朽化による漏水や破損等も懸念されるため、早急な転換が必要であると考えます。
 また、令和元年の法改正では、新たに公共浄化槽制度が規定されました。公共浄化槽は、市町村が建物それぞれに、または一定区域の複数建物と併せて合併処理浄化槽を整備し、維持管理まで実施するため、面的に転換を進めることができるとともに、良好な水質が確実に確保されるというメリットがあります。また、住民は下水道と変わらない公共サービスを受けることができるため、転換促進や維持管理向上には有効な制度であると考えます。
 そこで、まず、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進に向けた県の取組についてお尋ねをいたします。
 次に、浄化槽の適正な維持管理推進についてお尋ねをいたします。
 浄化槽の本来の機能を維持するためには、浄化槽法に定める維持管理、保守点検、清掃、法定検査を適正に実施することが必要であります。
 本県の法定検査の受検状況は、浄化槽を設置するときに必要な浄化槽法第七条に定める検査はほぼ一〇〇%受検されております。一方で、第十一条に定める年一回の検査の受検率は令和二年度末までに二四・四%となっており、受検率は年々少しずつ上がっておりますが、全国平均四五・七%に比べると低く、東海北陸七県中最下位、また、四十七都道府県中四十位と、強力な対策が必要な状況となっております。
 この十一条検査の受検率の内訳を見ますと、合併処理浄化槽は五四・三%、単独処理浄化槽の受検率は五・二%と、単独処理浄化槽の受検率が全体の受検率を大きく引き下げている状況となっております。ここでも本県の単独処理浄化槽が多いことが原因となっております。
 浄化槽法が平成十八年に改正される前は罰則等の規定もなかったため、それ以前から設置されていた浄化槽、特に多くを占めていた単独処理浄化槽を現在も使用している管理者は、十一条検査受検の認識不足があったり、生活雑排水をそのまま流してしまう単独処理浄化槽を使い続けている状況から見ても、環境の意識があまり高いとは言えない状況であります。
 単独処理浄化槽を合併処理浄化槽や公共浄化槽、下水道、集落排水に転換していくことも重要な課題でありますが、こうした十一条検査の受検率が低い単独処理浄化槽の受検率を少しでも上げることは、生活環境に対する意識を向上させ、ひいては合併処理浄化槽への転換や生活環境意識を高めることとなり、伊勢湾、三河湾の水質浄化にもつながると考えます。
 また、隣の岐阜県では、法定検査、保守点検、清掃の一括契約を進めたことにより、十一条検査の受検率は九五・九%と全国で最も高くなっております。適正な維持管理推進のためには、一括契約方式の導入や、先ほど申し上げた公共浄化槽の普及促進に向けた施策などの検討も必要と考えます。
 そして、都道府県に義務づけられた浄化槽台帳の整備については、行政が浄化槽設置に関する情報や保守点検、清掃、法定検査などの維持管理の実施状況を正確に把握することで、維持管理が不適切であったり、破損がある浄化槽への指導や単独浄化槽が多い地域での重点的な転換指導が可能となるため、速やかな台帳整備が望まれます。
 県では、既に浄化槽の法定検査の受検率の向上など、維持管理の推進として浄化槽台帳の整備に取り組まれていることと思いますが、これらの施策の現在の状況と今後の目標についてお尋ねをいたします。
 最後に、水素社会実現に向けたインフラ整備の取組についてお尋ねをいたします。
 二〇二〇年十月、我が国は二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、また、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を、二〇一三年度から四六%削減するという目標を掲げ、現在、様々な分野での脱炭素化に向けた取組を進めております。
 同時に、国で進めているエネルギー政策は、安全性、安定性、経済性、環境の四つの英単語の頭文字から成る、いわゆる3EプラスSの方針の下、それぞれ最大限の取組を行うこととしております。
 我々の日常生活をはじめ、経済活動に不可欠なエネルギー資源となる石油、石炭、LNG、LPGなどは海外からの輸入に頼らざるを得ず、昨今のロシア・ウクライナ間の紛争の影響により、こうしたエネルギー資源の確保が世界的に不透明かつ不安定な状況となっております。
 さらに、最近の為替相場における円安の影響も相まって、エネルギー資源、燃料の高騰が、ここ数年のコロナ禍で縮小している経済活動に追い打ちをかけ、産業界や日常生活に大きく影響を与えております。
 こうした中、現在、国では、温室効果ガスを排出する化石燃料から、太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーへ転換し、経済社会システム全体の変革を目指すグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを実行すべく政策が検討されています。
 県内では、太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギーの様々な取組が行われておりますが、このほかに温室効果ガスを発生しない次世代エネルギーとして注目されている水素についても、当地では、二〇〇五年の愛・地球博の開催を機に、モビリティーへの活用を中心に取り組まれてきました。
 水素は、燃焼させても水しか発生せず、CO2を排出しないクリーンエネルギーであり、輸送や発電、熱需要などで利用が見込まれ、様々な分野の脱炭素化に寄与するものであり、水が豊富な我が国にとって、エネルギー問題を解決する重要なエネルギー資源であります。
 先日、我が党の研修会にお招きいたしましたトヨタ自動車の寺師エグゼクティブフェローから、カーボンニュートラルを見据えた中部地域における水素利用促進をテーマに、水素社会の実現に向けた国や地域、企業の取組についてお話を伺う機会がありました。
 寺師氏は、中部地域における水素のサプライチェーン構築を目指す中部圏水素利用協議会の会長であり、さらに、大村知事が会長を務められております中部圏大規模水素サプライチェーン社会実装推進会議の副会長を務められ、中部地域における水素の供給及び利活用の促進を図り、水素社会の実現に向けた取組に御尽力をされております。
 寺師氏によりますと、世界に先駆けた燃料電池自動車をはじめ、水素の製造や利用など、水素に関連する日本の技術は世界一であるものの、昨今の世界的なカーボンニュートラルの動きの中、ヨーロッパやアメリカなどでは莫大な政府予算、投資がなされ、水素社会の実現に向けた動きが加速しているとのことであります。
 こうした危機感もあり、日本政府は、二〇二一年、二兆円のグリーンイノベーション基金を造成し、二〇五〇年、カーボンニュートラル目標に向けて、企業等による研究開発、実証から社会実装までの取組を継続支援する十九分野のプロジェクトを実施しております。
 そのうちの一つでありますスマートモビリティ社会の構築プロジェクトでは、福島県と東京都において、車両の製造事業者が中心となり、燃料電池トラック等を活用し、小売業における運輸部門の脱炭素化及びエネルギーマネジメントシステムの構築を目指した今後九年間にわたる取組が始まろうとしております。
 県内においては、二〇〇五年に開催された愛・地球博において、瀬戸と長久手の会場間の移動に、世界に先駆けて燃料電池バスが実証研究として試用され、その後の中部国際空港での実証を経て、現在の燃料電池バスSORAの市販につながったと伺っております。
 また、昨年十一月から、民間事業者が、岡崎市、安城市、豊田市にあるコンビニエンスストアにおいて、小型の燃料電池トラックを活用した配送実証を現在行っているところであります。
 今後、商用の燃料電池トラックが市販される見通しでありますが、本県は、日本の中央に位置するとともに、中部空港や大規模な港湾拠点が複数あり、国内の流通においても重要な地域であり、全国一位の営業用トラック登録台数を誇る物流業界を有しております。
 トラックを保有する事業者においても、カーボンニュートラルへの対応が必要不可欠であることから、物流界はもとより、日本一の集積を誇る製造業をはじめ、様々な産業で燃料電池車両の幅広い活用が期待をされます。
 本県はこれまで、燃料電池車両の普及に向けて、そのインフラとなる水素ステーションの設置に対する支援を進めており、県内の水素ステーションは着実に増えているとお聞きをしております。
 そこで、水素社会の実現に当たり、産業活動のインフラ整備について、二点お伺いをいたします。
 今後の水素ステーションの整備に対する支援について県の考えを、そして、日本一のモノづくり集積地である本県として、水素ステーション整備以外に水素の利用を促進することも重要と考えますが、どのような取組を行っていくのかお尋ねをいたしまして、私の壇上からの質問といたします。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯感染症対策局長(植羅哲也君) インフルエンザ対策についてお答えをいたします。
 この冬は、国内において、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザとの同時流行が懸念をされており、医療機関の逼迫を防ぎ、発熱患者に対する医療体制を確保するためにもインフルエンザ対策が重要になると考えております。このため、インフルエンザワクチン接種の推進と感染予防のための啓発に取り組むこととしております。
 まず、ワクチン接種の推進につきましては、今シーズンは国において過去最多のインフルエンザワクチンの供給量が確保できる見込みとなっておりますので、本県におきましては、重症化しやすい高齢者等でワクチン接種を希望する方がその機会を逃すことがないよう、積極的な呼びかけに努めてまいります。また、卸売販売業者、医療機関等の在庫状況を適宜把握いたしまして、ワクチンの地域偏在等の解消を図ってまいります。
 あわせて、本年十月から市町村が実施いたします高齢者等を対象とするインフルエンザワクチンの接種事業に対し、接種を受けられる方の自己負担額分を県が補助することでワクチン接種の一層の推進を図るため、本議会において補正予算の早期の議決をいただきましたので、速やかに補助事業を進めてまいります。
 また、感染予防のための啓発につきましては、県内百九十五か所の医療機関を定点として実施をしております発生動向調査や学校等の学級閉鎖の状況などからインフルエンザの発生動向を把握しておりますので、愛知県インフルエンザ情報ポータルサイトにおいて地域の流行状況等を発信することにより、県民の皆様が適切に予防対策を行えるよう啓発に取り組んでまいります。

◯環境局長(水野達也君) 合併処理浄化槽についてのお尋ねのうち、最初に単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進に向けた取組についてお答えをいたします。
 本県では、合併処理浄化槽の設置に係る住民の費用負担を軽減するため、国の補助制度を活用し、市町村と協調して浄化槽設置費補助事業を実施しております。
 二〇一九年度からは、補助対象を単独処理浄化槽またはくみ取り便槽から合併処理浄化槽へ転換する場合に限定するとともに、単独処理浄化槽などの撤去費や転換に必要な配管工事費を追加しております。これら補助制度の見直しを行いながら、昨年度は三十九市町村八百十五基の合併処理浄化槽の設置に対し約九千四百万円を交付したところでございます。
 今後も住民に対して補助制度の周知を積極的に行うとともに、国や県が補助対象としている配管工事費などを対象としていない市町村に対して補助対象に加えるよう働きかけるなど、制度を適宜改善しながら合併処理浄化槽への転換を促進してまいります。
 また、市町村が設置する公共浄化槽については、本県では昨年度、設置費や配管工事費などに対する補助制度を創設したところでございます。今後は、市町村に対して、公共浄化槽の設置に必要な浄化槽処理促進区域の指定に係る助言を行うとともに、国に対して公共浄化槽設置計画の策定マニュアルの早期作成を求めるなど、市町村職員の事務負担の軽減という観点からも市町村を支援してまいります。
 また、国に対しては、合併処理浄化槽への早期転換や公共浄化槽の設置が進むよう、補助制度の充実や公共浄化槽制度の改善を要請してまいります。
 次に、浄化槽の適正な維持管理の推進に向けた施策についてお答えいたします。
 本県では、毎年十月の浄化槽強調月間に重点的な広報を行うとともに、浄化槽の維持管理に必要な事項を記載した浄化槽管理手帳を作成し、関係機関を通じて浄化槽管理者に配布するなど、周知啓発に取り組んでまいりました。
 さらに、昨年三月には、法定検査を行う指定検査機関、保守点検業者、清掃業者等の関係団体と県関係課室、保健所設置市を構成員とする愛知県浄化槽協議会を設立し、点検項目の統一化や点検記録表のひな形の作成など、浄化槽の適正な維持管理等に関する協議を行っております。
 法定検査の受検に関しては、二〇一九年十月に浄化槽保守点検業者の登録に関する条例を改正し、保守点検業者に対して、点検時に法定検査の時期を浄化槽管理者に書面で通知することを義務づけるとともに、優れた能力や実績を有する業者を優良浄化槽保守点検業者として認定する制度を全国で初めて創設し、現在二十四の認定事業者により、適正な保守点検はもとより、設置者への法定検査受検の働きかけなどを行っております。
 その結果、年一回の法定検査を受検した浄化槽の数は、改正条例施行前の二〇一九年度に比べ、二〇二〇年度は約九千五百基、二〇二一年度には約一万八千基増加するなど、効果が現れてきております。
 また、浄化槽台帳については、二〇〇三年に構築した愛知県浄化槽台帳システムに登録されている約四十二万基分の浄化槽に関する各種情報の精査を二〇二〇年度から順次進めております。今後は、愛知県浄化槽協議会において、一括契約方式の試験的な導入や浄化槽台帳を活用した重点指導など、より効果的な手法の検討、導入を行い、適正な維持管理の徹底に努めてまいります。

◯経済産業局長(矢野剛史君) 初めに、今後の水素ステーションの整備に対する支援についてお答えをいたします。
 本県では、水素を燃料とする燃料電池車両の普及を促進するため、二〇一五年度から水素ステーション整備に係る補助制度を設けて、国の補助率二分の一に加えまして、その残りの二分の一、全体の四分の一を県が上乗せ補助をしております。
 今年度も既に四か所の水素ステーションが新たに開所され、本県の水素ステーションは、整備中のものも含めまして全国最多の三十九か所となっております。
 今後、燃料電池トラックが市場に導入されることに伴い、水素の需要増加や水素ステーションのさらなる活用が期待されます。小型の燃料電池トラックであれば既存の水素ステーションで充填できますが、大型の燃料電池トラックの場合、水素を短時間で大量に充填する必要があるため、水素の大規模貯蔵や高速充填に対応する水素ステーションが必要となります。
 本県といたしましては、これまでの燃料電池乗用車に加えて、市販化が見込まれる燃料電池トラックの普及も見据え、国の動向も注視をしながら、必要に応じて県の補助制度等の見直しの検討を行うなど、引き続き、水素ステーションの整備や施設運営の積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 続きまして、水素ステーション整備以外の水素の利用を促進する取組についてお答えをいたします。
 本県では、燃料電池自動車以外に、二〇一六年度から燃料電池フォークリフトの導入補助を行っており、現在までに県内の製造業や物流業の事業者などに対しまして、合計六十一台の補助を行ってまいりました。
 燃料電池フォークリフトは、排気ガスが発生せず、音も静かで、操縦者や周辺環境に優しい産業用の車両でございますが、公道を自走することができないため、燃料である水素の充填方法が課題となっております。
 このため、本県では、二〇二〇年度から県内中小企業を対象に燃料電池フォークリフトを無償で貸し出し、自社で水素充填設備の設置をすることなく、委託事業者が水素を配送して充填する仕組みの実証実験を行っております。
 今後は、本事業の成果を生かして、燃料電池フォークリフトの導入促進を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、今後、市販化が見込まれます燃料電池トラックや工場内の生産現場で用いられます水素バーナーの導入など、県内の製造業者等に対して水素の利活用の促進を図り、産業面におけるカーボンニュートラル及び水素社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。