2023年6月28日 中日新聞朝刊より

愛知発「休み方改革」のススメ

 充実した余暇は生活を豊かにするだけでなく、仕事の質を高め、ワークライフバランスの充実につながる。そんな考え方を普及させようと、県は「休み方改革」を熱心に進めている。全国知事会も、大村秀章知事が音頭を取って全国各地の先行事例集や提言をまとめた。

「マイスター企業制度」を導入
公立校に「学校ホリデー」創設
親と過ごす「ラーケーション」


認定
 県は新たに、休み方改革の「マイスター企業認定制度」を創設する。中小企業などの年次有給休暇の取得や、多様な特別休暇の導入を奨励するのが狙い。認定を受けると、ハローワークの求人票に認定企業だと表示したり、県発注の建設工事の入札資格審査で優遇したり、制度融資の優遇措置を用意したりする。
 認定企業が利用できるロゴマークも作成。申請は7月3日午前10時から、特設サイト「あいちYOU休ナビ」で受け付ける。
 県はこのほか、「あいちウィーク」(11月21~27日)期間中の一日だけ公立学校などが休日となる「学校ホリデー」を創設。期間中は講演会や学生らのコンサートを開く予定だ。県美術館(名古屋市)の常設展やあいち航空ミュージアム(豊山町)など県施設の入館料も、期間中の割引や無料化を検討している。
 9月から、親の休みに合わせて子どもが平日に学校を休む「ラーケーションの日」を導入するが、これも休み方改革の一環だ。

背景
 力を入れる背景として、祝休日に一斉に休む習慣が観光需要を集中させ、質の高い休暇を楽しめないという問題意識がある。業種や職種によっては休日に働く親も多く、子どもが家族と一緒に過ごす時間もつくりにくいとみている。
 全国知事会の休み方改革プロジェクトチームが26日に発表した提言では、企業や個人単位で休日を柔軟に設けられる環境づくりや有休休暇の取得促進、子どもと家族が一緒に休める環境づくりを求めている。38道府県が参加するチームのリーダーは大村知事。7月半ばから、関係省庁や経済団体などに要請活動を始めるという。

先行
 チームが作成した休み方改革の先行事例集では、県内の7例を含む25例を取り上げている。週休三日制を導入した鳥取県の企業や、30日間の連続休暇制度を取り入れた新潟県の企業などを紹介。佐賀県庁では、子どもが生まれる男性職員が14日以上の休暇を取得できなかった場合に「不取得理由書」を提出させ、「休むことが当たり前」の意識を浸透させている。
 大村知事は26日の会見で、「休み方改革の重要性や必要性を全国に発信し、国民運動として展開することで、国民全体のワークライフバランスの充実と生産性の向上、日本経済の活性化を目指したい」と話している。